<5>
午後に子供たちと遊んだあと、総司くんより一足先に壬生寺の山門を出たあたしは、前川邸の裏門の前にたむろしている集団の中に楠くんの姿を見つけた。
(あれ、こないだの人らやん………)
それに、新八さんも。
そう言えば、この間、こちらに目くばせした人がいたことを思いだした。
(なんや、楠くんに合図したんか)
「楠くーん」
手をあげて振ると、はっとしたように全員がこちらを向いた。
新八さんをのぞいた6人がこちらに向かってさっと会釈した。
誰かいるのかなときょろきょろしたが、あたし以外誰もいない。
(うん?………あたし?)
慌ててあたしも頭を下げる。
すると、なにやら向こうも慌てたように、今度は90度に腰を折り曲げた。
「
のぞみさん!」
輪から抜け出して楠くんが小走りにやってきた。
「どっか行くん?」
こっちを見ている人たちを見ながら訊いた。
「───え、ええ、
非番のもんばっかりで、飲みに行こういうことになって」
「へーえ、ええなぁ」
すると、新八さんもこちらへやってきた。
「
のぞみちゃん、どうした。連中が怖がってるから早く屯所の中へ戻ってやってくれ」
「はぁ? なんであたしを怖がるんです、こんな優しいのに」