忍び寄る影
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「大抵は総司が立ち合って、俺が判断する」
「ほな、土方さんに見る目がなかったってことですよね」
土方さんはじろりとあたしを睨みつけた。
「とにかく楠と関わるな」
「なんでなんです?」
「お前が理由を知る必要はない」
理由なら分かっている。
楠くんに間者の容疑がかかっているからだ。
「楠くんが間者やって疑ったはるんでしょう?」
「知ってるのなら訊くな」
「違いますって、そんなん!
だいたい、楠くんが京都の子ぉやって知ったはるやないですか!」
「京の人間は皆、長州びいきだ。そんなことも知らねぇのか」
呆れたとでも言いたげな物言いにあたしはカチンときた。
わかってないのは、そっちじゃないか。
京都の商家が長州に酷い目にあってるのを知らないのか。
「そやから!」
あたしは怒りにまかせて語気を強めた。
「それは、長州びいきの顔しとかんと、ヒドイことされるからでしょう?!」
勝手に言ってろ───とでも言いたげな無表情な横顔に聞こえよがしに言ってやった。
「女に現を抜かしてるさかい、大事なことが見えへんのんじゃ。
ほんま、うっとしい」
刹那、頬に痛烈な痛みを感じた。
手で触れると、少し腫れて熱を持っている。
(なんやさ、叩くことないやん!)
(────嫌い!)
(───大嫌い!!)
あたしは立ち上がって障子に手をかけた。
「楠くんになんかあったら、あたしあんたを絶対許さへんし!」
そう言い捨てて、部屋を出た。