忍び寄る影
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「何を怒ってる」
へ───、なんだ急に。
なんで、そんな優しい言い方なのか。
いやいや、騙されてはいけない。
こういのは、女慣れしている男の常套手段ではないか。
「別に、なんにも怒ってませんけど」
そっけなく答えて帯を巻き付け、背中側に回った。
別に怒ってなんかいない。
そう、怒ってなんかいない。
そうだ、そもそも、土方さんに【俺のオンナの盾になれ】宣言をされようが、こんな男にいちいち腹を立てることなんかないのだ。
手早く帯を結んで、「出来ました」と告げた。
「怒ってねぇんなら、袴もはかせてくれ」
(はぁっ?)
どすどす、と畳を踏み鳴らして、あたしは部屋の隅に置かれた袴をひっつかんだ。
ぱん、と振りさばいて広げると、土方さんはそこへ足をつっこむ。
あたしはムスッとしたまま背中に紐を回した。
いちいち抱き着くような恰好になるのを腹立たしく思いながら、最後の仕上げをしていると、
「大福を買ってきたんだが、食わねぇか」
ときた。
くずきりといい、大福といい、安く見積もられたもんだ。
「なんだ、いらねぇのか」
睨み付けているとそう言われたので、あたしは手を出した。
「茶を入れて来い」
その偉そうな言い方に再びムカつきながら、あたしは台所へ向かった。