忍び寄る影
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(へへん、ざまぁみさらせ!)
あたしはニンマリと笑みもらした。
どこまで話を進めていたんだろう。
ひょっとして、すでに身請けの日取りとかまで決めていたのだろうか。
捕らぬ狸の皮算用なんかするからだ。
「くそオヤジ!」
そう吐き捨てると、そこに【ぎょっ】とした顔の一くんが立っていた。
「あれ、どうしたん?」
「どうもしない、通してくれ」
視線をそらせて一くんは言う。
一くんは、決して視線を合わせようとしない。
だから、あたしは身体を屈めて、一くんの顔を覗き込んだ。
「───、なっ?!」
半歩後ろへ飛び退るのを笑って、あたしは道をあけた。
「いちいちオモロイやっちゃ(奴だ)」
どこへ行くのか見ていると、土方さんの部屋の前で立ち止まる。
あたしが立ち去らないのが気になるのか、一くんはこちらをちらりと睨んだ。
「はいはい、」
肩越しに一くんを見ながら、あたしは台所へと足を向けた。
角を曲がる時もう一度振り返りみると、
(─────!)
(なんなん、まだ見てるやん)
しつこい男は嫌われんで───そう思いながら、はたと気付く。
あたしには【聞かせたくない何か】なのだ。
(また、なんかあるんかな………)
そう思いながら台所に向かう。
左之さんの部屋からは、楽しそうな声が聞こえていた。
(……………、)
もしかして───。
あたしは、お膳を廊下の隅に寄せて置くと、すり足で土方さんの部屋を目指した。