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食事の済んだ土方さんの夕膳を持ち上げたあたしに、彼はブスッとして話しかけてきた。
「休憩所の話だがな」
───なんだ?
何か進展があったのだろうか。
(絶対断るし)
改めてそう決心する。
無言で土方さんを見下ろすと、沸々と怒りがわいてきた。
【ここに置いてやった代わりに俺のオンナの盾になって恩を返せ】なんてひどすぎる。
それとも、あたしの感謝の気持ちが伝わってなかったのだろうか?
それにしたって、ひどい話だ。
むかつきながら土方さんの綺麗に結われた頭頂部を睨みつけた。
「あの話は忘れてくれ」
「………あ、そうなんです?」
拍子抜けして、間抜けな言い方になってしまった。
当てにしていたあたしに断られて、計画を断念したんだろうか。
土方さんは、少し肩を落としているようにも見える。
(なんか、あたしが悪いみたいやん………)
ムカつく、そんな態度を取らなくたって。
土方さんが睨んでくる。
にらめっこ状態が続いたが、あたしは絶対に目をそらさないと決めていた。
(だって、あたしは悪ないもん!)
やがて、土方さんはあたしから目をそらせると、大きな溜息を落とした。
(なんなん、ほんま、ムカつくし!)
あたしはくるりと背を向けて部屋を出ると、障子に手をかけてピシッと閉めた。
だけど───、