忍び寄る影
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「なぁ、なぁ、大福食べへん?」
「あ、いえ、私はもうさっき二つももらいましたし………」
「あと二つ残ってるし、一つずつしよ?」
あたしは二つ残った大福の一つをつまみあげて、かぶりついた。
残りの一つを、楠くんの方へ押しやる。
「………、ほんまに、ええんどすか?」
「Sure!」
楠くんは、キョトンとしてあたしを見詰めた。
「ほんまにええよ、って意味」
「ああ、エゲレス語どすか!ほな、遠慮のういただきます」
照れ笑いして、楠くんは大福にかぶりついた。
口元に白い粉がついて、それがまたなんとも可愛らしい。
舐めたろかしら、ほんま。
「ねぇ、のぞみはん、また今度松輔さんとこに遊びに行きませんか?」
「───あ、うん」
「お商売のこともあるし、今世間がどうなってるんか、色々知りたい言うたはりましたし」
「ああ、そうか」
「新選組に知り合いができたやなんて、心強いて喜んだはりましたから」
【なぜ】と問われても答えられない。
でも、あの時感じた【逃げ出したい】という感覚。
でも、松輔さんは商人だった。
それに、こうして無事で帰ってこれたのだから、やはりあたしの気のせいだったのかもしれない。
「そうやなぁ、【勤王の志士】とか言うて、強盗みたいなことする連中が多いて聞くもんなぁ」
新八さんなど、【到底武士のすることとは思えない】と嫌悪感をあらわにする。
「そやけど、表向き【うちは長州の味方です】言うといた方が滅茶苦茶されんでええかもな。
ほんま、うっとうしい人らやわ」
「そやけど、あちらはんも攘夷のためにはお金が要るんとちゃいますか。
それに狙われたはるんは夷国と貿易したはるお店なんやし、自業自得いうもんでしょ?」