ウソか誠か
夢小説設定
名前変更名前の変更ができます。
※苗字は固定となっています。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「厠へ」───と、席を立ったのぞみの足音が聞こえなくなるのを待ってから楠は口を開いた。
「どうです、チョロイですやろ?
ちょっと誘うたら、何の警戒もせんとついてきはりました」
楠は小さく笑った。
目の前の男はゆっくりと杯を傾けている。
「このまま連れて行かはりますか?」
「本当に土方の女なのかい?」
「へぇ、いつでしたか、【行方知れずになってしもうた】言うて。
その時も上を下への大騒ぎやったんです。
上手いこと使ったら、幹部の大部分をおびきよせられます」
「そうじゃなぁ」
松輔は吟味するように唇をゆっくりと舐めた。
「田舎剣法の免許とはいえ、沖田の腕は侮れんしのう」
「では、どのように」
楠は前のめりに訊いた。
「そうじゃのう………」
空になった杯を膳に戻して、松輔はにっこりと笑った。
「お前はあの女に張り付いておけ。
土方の女なら、何か知っとることもあるじゃろう。
それを時々、俺に伝えてくれ。お前にしか出来ん仕事じゃ」
楠は頬を紅潮させて頭を畳にこすりつけた。
「承知いたしました、桂さん!」
ウソか誠か<2>/終