ウソか誠か
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攘夷論者か───と、あたしは松輔さんの顔を見た。
だから、そこで働いていた楠くんもその傾向にあるのかもしれない。
(それやのに、なんでわざわざ新選組に?)
あたしはちらりと楠くんを盗み見た。
彼は空になった松輔さんの杯に気付いて、さっとお銚子を持ち上げた。
かつての主人は、かつての奉公人の酌を静かに受けている。
その二人を、わずかな違和感を感じながら見た。
(なんやろう………?)
何か違う気がする。
「───それはそうと、」
松輔さんが、思い出したように言った。
「大変でしたね、なんでも、局長が亡くなられたとか」
そのことが、すでに街の噂になっているのかと少し驚いた。
まあでも、芹沢さんのお葬式は盛大だったから、口伝えに広まったのかもしれない。
「はい、私らが島原の角屋で宴会を開いていた日ぃでした。
長州が、押し込んだて聞いてます」
「楠くん!」
思わず、きつく制してしまった。
でも、いくら知人とはいえ、そんなことまで話してしまっていいとは思えない。
あたしは楠くんを小突いた。
「───え、」と、楠くんは目を丸くした。
「そんなこと、あんまり人に話さんほうが」
松輔さんはお酒をすすっている。
静かに盃を置くと、あたしを見詰めた。
「ご心配なく。他言はいたしませんから」
ほらね、とばかりに楠くんがあたしの目を覗き込んだ。