ウソか誠か
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松輔さんの後について、先斗町の中にあるすごく高そうなお店に入った。
奥の離れの部屋に通されると、すぐに酒肴が運ばれてくる。
見た目にも美しいお料理に、たまらず袂からiPhoneを取り出した。
「それは?」
松輔さんが目を丸くして訊いた。
「え、えーと、フォトグラフです」
「ほとがら?」
その言葉を聞いて、あたしは指を鳴らした。
「あ、それ! それや、才谷さんが言うてたん。ほとがら、ほとがら!」
「才谷さん?」
「あ、えーと、お腹空かしてたあたしに団子をおごってくれはった人です」
松輔さんは、顔をしかめて笑いを堪えているようだった。
武士のあたしに対して失礼だと思ったんだろう。
小さく咳払いすると、あたしの手元に視線を落とした。
「珍しい物をお持ちでございますね」
「のぞみ殿は、以前は花街にいはったので。
上客からの贈り物だそうですよ。ね、のぞみ殿?」
「───は、はぁ、まあ、そんなとこです」
松輔さんが、無遠慮にあたしの顔を見てきた。
【こんなブサイクが花街で上客をとれるのか】とでも言いたいのだろう。
「楠くん、その話はあんまり………」
ひそひそと伝えると、彼は「あ、」と言って首をすくめた。
「そうどした、のぞみ殿は足抜けを………」
「足抜け?」
松輔さんが素っ頓狂な声をあげる。
「ま、そんな大層なことでもないんですけど、ははは」
「ひょっとして、それで男の恰好を?
こんなところへお連れして大丈夫でしたかな?」
「大丈夫、大丈夫」
突っ込まれると困るので、あたしはすぐにiPhoneを袂の中に戻した。