ウソか誠か
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「こちらのお方は?やはり、新選組の?」
「はい、山本のぞみ殿です」
「どうも、」
あたしは、ぺこりと頭を下げた。
松輔さんの言葉に訛りはなく、京都の人でないことは明らかだが土佐や長州の人でもないだろう。
(また土佐とかの人やと土方さんにブツクサ言われるしな)
たとえ商人でも、【どこ出身の人か】ということは注意しておかないといけない。
「これはこれは、畏れ多いことでございます」
松輔さんは、明らかに小娘のあたし───いや、この時代なら立派な年増かもしれないが───に対して改めて深々と頭を下げた。
この時代は、目上と目下は年齢では決まらない。身分だ。
あたしや楠くんの方がずっと年下でも、商人の松輔さんからすれば目上になる。
「のぞみ殿は、新選組副長 土方先生のコレなんです」
楠くんは小さく笑って小指を立てた。
「もう、冗談ばっかりやめてや。嘘です、ウソ、ウソ。
あたしなんて、しょせん百分の一ほどの価値しかないオンナなんで」
またムカムカが戻ってきて、そう吐き捨てた。
「───え、………ああ、女の方ですか!どうりで、お綺麗なはずだ」
「またまたぁ!」と松輔さんの二の腕を叩くと、少し驚いたような表情なってから笑った。
どこかの若旦那なのだろうか、笑うと可愛らしい顔になって幼く見える。
政変の時、みんなが帰って来ていなかったら、あたしは八木さんの養女になって【然るべき家に嫁ぐ】ことになっていた。
その時は【げぇ~~~~っ】と思ったが、松輔さんみたいな商家の素敵な若旦那なら全然オーケーやん!
この際、あたしから志願して八木さんちの養女にしてもらって、こんな素敵な若旦那のところへ嫁がせてもらおうか。
大きな商家ならお金持ちだろうから、きっと綺麗な着物とか着せてもらって、幸せな一生を送りましためででたしめでたし───みたいな生活が待っているはずだ………なぁんて。
「新選組には綺麗な男子が揃っているのだなぁと感心していたところだったのですが、なるほど、本当だ──」
妄想に浸っていたところえを、楠くんに小突かれて現実に引き戻された。