ウソか誠か
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リクちゃんは誰もいないことを再確認するように辺りを見回す。
「………あの夜、旦那はん、出かけたはりましたやろ?」
リクちゃんが言うには、寄り合いがあるとかで、源之丞さんは町へ泊まりでお出かけだったという。
「夜中、誰かいはるんに気ぃ付いて、奥さんは旦那はんが帰って来はった思わはったみたいで」
浪士組が寄宿するようになってから、夜も雨戸を立てまわせなくなったと、以前おマサさんがぼやいていたのを聞いたことがある。
隊士たちが夜中でも明け方でも気にせず出入りするからだという。
「そやけど、旦那はん泊まりや言うたはったのに、帰ってくるておかしいなて思わはったみたいで、
寝たはった部屋の襖ちょっとだけ開けて、隙間から玄関の方を覗いてみはったんやて」
あたしとスエちゃんは、箸を動かすことも忘れて聞き入った。
「ほんならな、………」
リクちゃんは、もう一度辺りを見回した。
「………ほんならな、誰やったと思います?」
もったいぶって言って、あたしたちの目を交互に見た。
「もう、もったいつけんと、はよ言うて。いけずやわぁ」
じれたスエちゃんにそう言われて、リクちゃんは無表情なまま、視線だけあたしに向けた。
あたしは慌てて否定する。
「あたし、ちゃうで。そのころ島原で酔いつぶれてたし」
「ちゃいますて!」
リクちゃんがあたしの腕を叩いた。
そして、言ってはいけない呪文を口にするように囁いた。
「土方はんや」