1/100のオンナ
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見上げると、目尻を下げた魅力的な左之さんの顔があった。
あたしの頬を撫でると、急に悲しそうに微笑む。
「お前の手足が屯所に届けられるようなことにならねぇでくれよ」
ごくり───思わず唾を飲み込んだ。
「おい、小十!」
左之さんの胸の振動があたしの身体に響いた。
びくっとして振り向くと、楠くんが少し後ろに立ち止まっている。
「楠くーん、行くでぇ」
「あ、はーい!ただいま参ります」
パタパタと駆けてくるその向こう側をあたしは首を伸ばして見た。
四条大橋(現代みたいな大きな橋じゃないけど)のたもとに、物乞いのおじさんが3人座っていた。
「お金あげてたん?」
楠くんに訊くと、彼は照れくさそうに頭を掻いた。
「へえ、まあ、ほんのちょっとどすけど。
今夜一晩くらいは食いつなげはるやろ、思て」
「ほんま、ええ子やなぁ!」
あたしは、モーレツに感激した。
「土方さんなんか、女には湯水のようにお金使うくせに、絶対ああいう恵まれへん人には一銭も出さんタイプやで」
「はあ、………」
【出て行け】という言葉にずっと落ち込んでいたが、この瞬間にそれは怒りに変わった。
「ほんま、さいってーなオッサンや」
「その最低なおっさんに葛切り馳走してもらって喜んでたのはどこのどいつだ」
左之さんは笑った。