賽は投げられた
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「ひどい言い方しはるんですね。
自分かて、そういう人たちに、ええ思いさせてもろてるくせに」
「いいから、来い」
怒ったように土方さんは言って、あたしの手首を引いた。
(だったら尚更、紅をひいてあげて良かった………)
あたしはもう一度、お梅さんを振り返って見た。
「お梅とは、親しかったのか?」
声に厳しさが無くなっていた。
「親しいっていうほどは、親しくなかったですけど………」
でも、熱中症で倒れてたあたしを介抱してくれたり、気さくに話しかけたりしてくれた。
あまり得意なタイプではなかったが、決して嫌いではなかった。
「可哀想なことをしたな」
ポツリと土方さんが言った。
「喜んでるだろうよ。お前ぇに紅をさしてもらって」
驚いて土方さんを見上げたが、無表情な横顔からは何も読み取れない。
空を見上げると、すでに星が瞬いていた。
「もう、───」
「うん?」
「もう、芹沢さんと会えたはるでしょうか………」
土方さんも、空を仰いだ。
「ああ、………きっとな、」
あたしは土方さんにバレないように、そっと袂で涙を拭った。
賽は投げられた/終