賽は投げられた
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それから、巾着袋の中から紅を取り出した。
「今、つけたげるな………」
蓋を取り、震える指に紅を取る。
───と、
「何をしてる」
詰問するような声に、あたしはびくっと肩を震わせた。
声の主は分かっている。土方さんだ。
振り返ると、腕組みで佇んでいる土方さんがいた。
すでに黒紋付を着ている。
「何をしてる」
土方さんは、もう一度訊いた。
「………べ、紅を、」
「何だってぇ?」
「【べに】を、さしたげようと思って」
腕組みをほどいて無言でこちらにやってくると、土方さんはあたしの手首を乱暴につかんだ。
「余計なことをするんじゃねぇ」
「べ、べつに、よけいなこととちゃいますし!」
土方さんは、恐ろしい顔つきであたしを見下ろしている。
「だって、───」
「だっても、明後日もねぇ。来い」
ぐいと手首を引かれて、あたしは足を踏ん張った。
「ええやないですか、紅さしてあげるくらい!
こんなままやったら、お梅さん、恥ずかしくて、あっちで芹沢さんに会いに行けへんでしょう?!」
あたしは、手を振りほどいた。
土方さんに背を向けて、お梅さんに手を伸ばす。
震える指で、紅をさした。