賽は投げられた
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目を閉じると、先程のお梅さんの顔が浮かぶ。
美しかった生前の姿は見る影もなかったと言っていい。
(せめて、………)
思い立って、あたしは起き上がった。
ふらふらと部屋を出て、芹沢さんたちの部屋へ行く。
ここにいたんだから、あるはずだ。
芹沢さんの部屋は、すっかり畳が取り払われて、床板が丸見えの状態になっていた。
目当てのものはすぐに見つかった。
お梅さんの巾着袋。
それは、ちょっと留守にした主を待っているかのように、ちょこんと床の間に置かれていた。
紐を緩めて口を開ける。
秋の日は釣瓶落としというように、すでに室内は暗い。
あたしはスマホのライトを照らして巾着袋の中から探し物を見つけた。
「それと、」
ライトを動かすと、床の間の奥にお梅さんの美しい着物が無造作に置かれていた。
それを胸に抱いて表に出た。
ムシロの前で深呼吸をし、「よし、」と胸の中で言って自分を鼓舞する。
あたしは、ひと思いにムシロを取り去った。
その姿を見下ろして、あたしは再び絶句した。
お梅さんは下着をつけただけの格好だった。
首を斬られた以外に、目立った傷はない。
あたしは着物を振りほどいて、お梅さんの白い身体に掛けた。
これで、身体と切り離された首が隠せる。
裸体を男たちの目にさらさなくて済む。
ほっと息をついて、ふところから手拭いを取り出した。
よく見ると、顎のあたりに血がこびりついている。
手拭いを唾液で濡らして、こびりついた血を拭きとった。