賽は投げられた
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手を合わせて、「安らかに……」と胸の中で唱える。
目を開けたあたしは、手を伸ばしてムシロをめくった。
お梅さんの顔が露わになった。
切れ長な美しい目は閉じられて、長い睫毛が頬に張り付いている。
いつも艶やかで赤かった唇は、今はすっかり色を失っていた。
振り乱したような髪が哀れに見え、たまらずあたしは手を伸ばす。
額と頬にかかった髪を、頭部に撫でつけようとしたとき、不自然に頭が転がる感じがした。
不思議に思い、更にムシロをめくって、あたしは悲鳴をあげそうになった。
肩が露わになった上半身と頭部は、切り離されている────。
「───う、」
吐き気を覚えて顔を背けたあたしを、総司くんが抱き留めてくれた。
「もう気が済んだろう?ほら、部屋まで連れてってあげるから」
がくがく、と頷いて、あたしは半ば抱えられながら歩いた。
あんな姿───。
あんな姿になるなんて。
(───ひどい)
「お通夜までまだ時間があるから休んでなよ」と言われて、あたしは部屋でぼんやりと寝転がっていた。
角屋に残ってて良かった、助かった───という気持ちよりも、お梅さんがあんな目に遭っていたとき、あたしは何も知らずに角屋で酔いつぶれていたという罪悪感が勝った。
───どんなに恐ろしかっただろう
そう思うと、身体が震えた。