賽は投げられた
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八木さんちは、まだ隊士たちがうろうろしているものの、静けさを取り戻しつつあるように見えた。
反対に今度は、前川邸の方が慌ただしくなっている。
「お通夜は前川さんとこでするん?」
背中に負ぶわれながら、総司くんに訊いた。
「うん、そう。一度部屋に戻ってから一緒に行こう」
「………うん、」
カラコロと鳴るゲタの音を総司くんの背中で聞きながら、八木さんちの長屋門をくぐる。
何気に視線を向けた先にあったものに、ぎょっとした。
それに気付いたのか、総司くんが小さく舌打ちする。
「なんで、こんなとこに置いておくんだよ、もうー」
ムシロが掛けられたその【物体】は、白い足を覗かせていた。
「お梅さん………?」
少し間をおいて、総司くんが「うん、」とうなずいた。
「ちょっと、下ろして?」
あたしは自分からずり落ちるように背中からおりて、そのムシロに向かって歩いた。
「ちょっと、」
総司くんが肩を掴む。
「手ぇくらい、合わさせて」
肩から手が離れたので、またあたしはムシロに向かった。
こういうのを、祖母が観る時代劇で何度も見たことがある。
遺体にムシロをかぶせておくのだ。
その膨らんだムシロの前に、あたしはのろのろとしゃがんだ。