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子供の声に目が覚めた。
(菊ちゃんが来たんかな……)
薄目を開けて見ると、目の端に女物の着物が映った。
どうやら、あたしの隣に菊ちゃんが腰掛けているようだ。
「う~~~~~ん、」
思い切り伸びをして、あたしは起き上がった。
「
のぞみはん、大丈夫どすか?」
「う~~~~、やっぱりまだ気持ち悪い」
全然治ってない。
菊ちゃんの向こう側から顔をのぞかせた総司くんが、気の毒そうに微笑む。
「水飲みたい~~~。総司くん、水くんできて~~~~」
「あ、うちが汲んできます。ちょっと待っててくださいね」
菊ちゃんは、すっと立ち上がると小走りにどこかへ行ってしまった。
「総司くんも一緒に行っておいでぇな」
あたしは再び寝転がる。
「だって、子供たちを見てないと駄目じゃない」
「楠くんは?」
「とっくに帰したよ。通夜の支度とかあるだろうし」
「う~~~~~~~」
「そんなに気持ち悪い?」
「うん、………なあ、」
「うん?」
「帯ゆるめてもええかな」
総司くんは、くすっと笑う。
「別に僕は構わないけど」
あたしは早速袴の紐を解き、帯も解いた。