賽は投げられた
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───じゃあ、母屋の人だかりは、そのせいなのか。
「部屋が片付くまで、君を近付けるなって土方さんに言われてる。外に出よう」
「───そう言われても、気持ち悪くって歩けへん」
「とにかく顔を洗いなよ。おぶってあげるからさ」
情けない気分で、総司くんを見上げた。
「なんだよ、今更遠慮しなくてもいいって。
たまには重いもの持って鍛えとかないといけないし」
「あのなぁ………」
もう一度蹴りを入れたいが、気持ち悪くてそれどころではない。
手ですくった水をごくごくと飲み干す。
「平助に変なことされなかった?」
「平ちゃん?そういや、会うてへんわ。一くんと一緒やってん」
「一くん………?」
「うん、あたしを布団の上に落っことしたんやって。 ひどいと思わへん?」
その光景を想像して、あたしはくすくすと笑った。
「君が重たいからだろ?」
「うるさいな、一くんも総司くんも鍛え方が足りひんねん」
そう言えば───と思い出した。
「一くん、ちゃんと教育しとかんと、女の子にモテへんで?」
総司くんは小首をかしげる。
「鍛錬になるから、あたしをおんぶして帰るって言いたかったらしいんやけど、一くん言葉が足りひんやろ?」
「うん」
「偉そうな言い方で【負ぶってやろう】みたいに言うてきたから、【嫌々おんぶしてくれんでいいよ】って言うたら、こうやで」
あたしは一くんのモノマネで言った。
「【嫌ではない、むしろ喜んでいる】」
総司くんが噴き出した。
「おかしいやろ? 変態か、っちゅうねん」
「苛めないでやってよ、一生懸命なんだからさ」
「笑(わろ)てるやん、自分かって」
肩を震わせながら、総司君はあたしに背中を向けてしゃがんだ。