賽は投げられた
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結局あたしは、一くんに背負われて屯所まで帰ってきた。
雨が降ったのか、道がべちゃべちゃで、ぬかるんでいる。
やっと壬生寺が見えてきてほっとすると、八木さんちから若い隊士が駆け出してきた。
前川邸の裏門の中も、隊士が行ったり来たりしていて物々しい。
(なに、また出陣………?)
あたしは眉を寄せた。
「一くん、また出陣とかあんのん?」
「───え?」
「だって、ほら、なんかみんなザワザワしたはるやん」
八木邸の敷地に一くんが足を踏み入れると、何かあったのは、このあたしでもすぐに分かるくらい異様な雰囲気に包まれていた。
「なんかあったんかな………」
「───さあ、」
一くんは、門の前であたしを背中から下ろし、
「あんたは、ここにいろ」
そう言い残して、中に入っていく。
その背中を見ながらあたしはため息を落とした。
「ここにいろっちゅわれても、あたし水飲みたいねんけど。
もう一くん、ほんま気ぃ利かへんなぁ、もうぅ………」
ブツブツ言いながら、あたしはヨタヨタ歩いて井戸へと向かった。
母屋の方がざわついている。
(なんやろう………?)
(まあ、その前に水飲も)
顔も洗いたい。
釣瓶を落として、渾身の力でロープを引いた。
賽は投げられた<4>/終