賽は投げられた
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「惨いものですよ。処刑された後の死体は、刀の試し斬りに使われるんですから」
「────、え?」
あたしは楠くんの横顔を見た。
「刀の試し斬り──って?」
「藁を斬るのと、人を斬るのじゃ感覚が全然違います。
人を斬ったことのない隊士に、人を斬る感覚を覚えさせるんです。
終わったあとは、【なます】みたいになってますよ」
胃の中のものが喉元までこみ上げたのを、すんでのところで飲み込んだ。
「楠、」と山野さんが非難するような声色で言った。
「──あ、すみません」
「ううん、あたし、ここに来てもう何か月も経つのに、みんなが何してんのかあんまり知らんし、色々勉強になりました」
(人の試し斬り?)
あたしは、知らないことが多すぎる。
ひょっとすると、とても恐ろしいグループに拾われたんじゃないか──そう思うと背筋が冷えた。
「のぞみ殿、大丈夫ですか?
申し訳ありませんでした、変なことを教えてしまって。
私はてっきりご存知だと思っていましたので──」
あたしは、首を横に振る。
「うん、大丈夫。ほら、あたし前川邸には入ったらアカンて言われてるし、よう知らんねん。
そやけど、この先もここで厄介になるんやったら、ちょっとくらい知っとかんとアカンと思てる。
これからも、色々教えてな、楠くん」
楠くんは小さく笑って頷いた。