賽は投げられた
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最近、陽が落ちるのがすっかり早くなった。
島原までは三十分もかからないが、歩いているうちにも、どんどん夜の闇につつまれていく。
街灯がないので、平助くんが持っている提灯が照らす範囲がほんのりと明るいだけだ。
そのあとについて、あたし、総司くん、左之さんが歩いた。
それなのに、島原に着いてみれば、そこだけはあちこちに灯りがともされて、まるでこの世ではないような雰囲気が漂っていた。
(千と千尋の神隠し、みたい)
芹沢さんに手を引かれて来たときは、慌っていたのと、まだ空が明るかったのだろう。
こんな幻想的な印象は持たなかった。
あちこちから、三味線の音や、女性男性の笑い声が聞こえてくる。
(ふうん、みんな、こういうとこで遊んでるんか……)
あたしは、興味津々にあちこちを見た。
「なあなあ、平ちゃんにも、馴染みの女の人とかいるん?」
隣の平助くんに聞くと、急にしどろもどろに、
「な、な、なんだよ、そん、そんなこと、いちいち聞かなくてもいいだろ!」
怒ったように言う。
「怒る、いうことは【いる】っちゅうこと?」
「怒ってなんかねぇって!」
困ったように言う平助くんが可愛くて、あたしは腕を絡めた。
「怒ってるやん」
「怒ってない」
「ほな、今日はそういうことしたらアカンで?」
「たりめぇだろう?」
平助くんは、鼻息も荒く言う。
「今日はあたしの専属な?」