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「実働部隊は、近藤さん、沖田、原田、山南、源さん、それから俺だ」
近藤の部屋に集まった八名は、名を呼ばれると黙って頷いた。
「それから、斎藤は──」
部屋の隅に座っていた斎藤が視線を土方に向ける。
「お前ぇは、新八を見張っててくれ。
枕芸者を呼ぶなりして、一晩部屋に押し込んどけ」
永倉はここに呼ばれていない。
正義感の強い彼がこの暗殺計画を知れば、良い顔をしないのは必至だ。
そして、もしも永倉がこの計画の阻止に走れば、彼を止めることができるのは斎藤しかいないだろう。
「土方さぁん、俺はぁ?」
名が挙がらなかった藤堂が不満そうな声を出した。
「不貞腐れるな、お前ぇにはとっておきの役目を用意してある」
「土方さん、また連れてってくださいね~!」
誕生日に【鍵屋良房(鍵善)】に連れていってもらったあたしは、超ご機嫌でこの数日を過ごしている。
一方──、
「ところてんに黒蜜をかけるなんざ、邪道もいいところだ。
俺ァ二度と行かねぇからな」
土方さんはカルチャーショックに打ちのめされていた。
「【ところてん】ちゃいますし。【くずきり】ですし」
「どっちも似たようなもんだろうが。ところてんには酢醤油と決まってるんだよ」