<4>
何度となく寝返りを繰り返し、空が白み始めたころ、ようやくあたしは眠りについた。
かと思えば、どたどた、と大きな足音が響き渡った。
(帰ってきた?!)
布団から這い出して、障子を引き開けると──誰もいない。
(──へ、夢?)
皆、無事に帰ってきたと思ったあの足音は夢の中で聞いたものだったのだろうか。
すでに陽は高い。
(まだ、帰ってきてへんのんか……)
ふと、思い立って、総司くんの部屋につながっている襖に手をかけた。
そうっと、滑らせる。
彼はそこに寝ていた。
軽く口を開けて、あどけない顔で眠っている。
もしかしたら、これも夢なのかもしれない。
だって、寝顔がこんなにも可愛らしい。
(へえ、寝てたら天使ってこのことやな……)
あたしは、ふ、と笑みを浮かべた。
──と、ぐるっと顔がこちらを向いた。目を見開いている。
「わっ!!」
身体を引いた拍子に、フスマがガタンと鳴った。
不機嫌そうな顔で総司くんは起き上がった。
「もう~~、こちとら一睡もしてないんだからさぁ、邪魔しないでくれる?」
「びっくりするやん!エクソシストか!!」
やはり、夢ではなかったようだ。
.