Move Out!
夢小説設定
名前変更名前の変更ができます。
※苗字は固定となっています。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
境内にはいつも通り、子供たちの声が響いていた。
「のぞみーー!」
五平が駆けてくる。
すっかり現代的なフォームが身について、もうあたしは追いつけないくらい走るのが速くなっている。
「今日、なんかあったんか?」
「なんかって?」
隣に並んで歩き始めた五平は、ウキウキしたように言った。
「朝からなんか、ものものしかったやんけ」
「なんや、見てたん?」
「おう、顔洗おう思て庭に出たら、なんやがやがや声がするさかい。
ほんなら、あの行列や。戦でも始まるんけ?」
この好奇心旺盛な少年は、目を輝かせながら訊いた。
「そんな大層なことやないらしいよ。
ただの警護や」
「黒谷はんか?
うーん、それとも御所かな」
あたしは驚いて少年を見た。
「なんで分かるん、そんなん」
「そんなん、ちょっと考えたら分かるやんけ。
会津はんのお預かりなんやさかい、すわ、言うたら黒谷はんか、そうやないんやったら御所やろ普通」
「なんか、出陣、て言うてたしなぁ。
怖いことにならへんかったらええけど」
五平は、腕組みでうなずく。
「確かに、出陣、いう感じやったなぁ。
そやけど、今のとこはなんも起こってへんみたいやん」
「そんなん、なんで分かるんよ」
「大砲の音、せぇへんやんけ」
「そんなん、斬り合いしてたら音なんか聞こえへんやん」
五平は腰に手をあてると、やれやれという感じで息を吐き出した。
「阿呆やなぁ、源平合戦ちゃうんやで。
今どき、斬り合いだけなんか流行らへん。
まず、大砲か銃で撃ち掛けるに決まってるやんけ」