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「ちょ──」
その後を声にできないほど、背中に回された腕がきつくなる。
「行ってくるよ、──姉上」
ふ、と息をついてから、総司くんはあたしを放した。
そして、また四つん這いになるともぞもぞと後退して庭に降り立った。
こうして離れて見ると、平助くんが【出陣】という言葉を使った意味がわかる。
頭には鉢金、浅葱色の羽織の上にはすでに黄色いたすきをかけ、足には脚絆、わらじ履き。
襟から中に着込んだ鎖が見えていた。
「じゃあね、」
総司くんは明るく言うと手をあげてあたしに背を向けた。
「ちょ──」
後を追いかけようとしたが、下駄が無い。
ダッシュで玄関まで行って、下駄に足を突っ込んだ。
袴の裾を持ち上げて走り、前川邸の裏門へとすがりついた。
中に入らなかったのは、到底入れる雰囲気ではなかったからだ。
総司くんと同じような恰好の隊士たちが、ずらりと列をなして並んでいる。
(こんな、たくさんいんのか……)
高校時代の一クラスが40人、今目の前にふたクラス分くらいの人数がいる。
平助くんと一くんの姿を捜したが、見つからない。
やっと見つけたのは、頭ひとつ抜きん出た島田さんだった。