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総司くんは行李の中をごそごそすると、紙包みを取り出して、あたしに突き付けた。
「これ、持ってて」
「──へ?」
はっとして、あたしは突き返した。
昨日からロクなものを押し付けられていない。
「遺書とか預からへんし!」
総司くんは困ったような笑みを浮かべた。
「そうじゃないよ、」
「ほな、なんなん?」
「櫛だよ」
「クシぃ?」
あたしは素っ頓狂な声をあげてしまった。
「うん、姉上に送ろうと思ってたんだけど、急にこんなことになっちゃったからさ」
「そういうのを、遺書、って言うんとちゃうん?」
あたしは総司くんを睨みつけた。
「まあ、すぐに帰ってくる予定だけど、もしかしたら何日も戻らないかもしれない。
もしも、長い留守になるようだったら、姉上に送ってもらえないかな」
「──って、どこに送るんよ」
「中に書いてあるから」
総司くんは鎖の手甲をつけた手で、とんとんと包みを叩いた。
「そんな顔しないでよ」
そう言って、あたしの頬をぴたぴたと叩く。
「そうだ、」
総司くんは四つん這いから起き上がると、にっと笑ってあたしを見た。
「君ってさぁ、ちょっと姉上に似てるんだよね。
ちょっと、姉上の代わりになってくれる?」
言ったが早いか、総司くんはあたしに覆いかぶさった。
あたしは膝立ちのまま総司くんの腕の中にいる。