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「騒ぎが大きくなったら、それを鎮圧するのに数日かかるかもなってことさ」
知らず膝の上で握りしめていた手を、平助くんがポンポンと叩いた。
「数日……?」
そんなに──そんなに大変なことが起ころうとしているのかと愕然とした。
土方さんがあたしの身の上を心配したのも納得がいく。
どんどん、と大きな足音が響いてきたかと思うと、上機嫌な芹沢さんの大声が頭の上に降ってきた。
「のぞみ、何を震えておるか!梅を見習うがよい」
お梅さんは、「おめでとうございます」とにっこり笑って喜んでくれているという。
「すいませんねぇ、あたしはそういうの慣れてないんで!」
唇を尖らせると、芹沢さんは手を伸ばしてきてぴたぴたとあたしの頬を叩いて握りしめている黄色いたすきを見せた。
「見ておれよ、拙者はこの黄色いたすきを掛けて存分に働き、真っ先かけて討ち死にいたす覚悟でござる」
「──は、はあっ?! うち死にぃっ?!」
声をあげたあたしの後ろから平助くんがかばい出てきた。
「芹沢さん、のぞみを脅さないでくださいよ。
やっと落ち着かせたところだったんですから!」
芹沢は、声を立てて笑う。
「手柄を立てて帰って参るゆえ、楽しみにしておるがよい」
鼓膜に響いてくるほどの大きな声で言って、芹沢さんは去って行った。
いよいよ、土方さんに手渡された証文が重く感じられる。
「な、なぁ、平ちゃん。土方さんに、こんなもん渡されたんやけど……」
証文を平助くんに渡す。
「見ていいのか?」
うなずくと、平助くんはかさかさと包みを開けた。
「──ふうん、」と言って平助くんは苦笑いを浮かべた。
「土方さん、のぞみのことがよっぽど心配なんだな」
また綺麗に畳んであたしに手渡してくれる。
「心配すんな。
言ったろ、ちょっとした騒ぎが【起こりそう】ってだけさ。
明日は、一日ゆっくりしとけばいいよ」
少ししんみりして言って、思い直したように黄色いたすきを手に取った。
「ほら、いいだろう、これ。会津藩の合印なんだぜぇ」
あたしに心配させないためだろう。
平助くんは宝物を自慢する子供みたいな顔を作って、黄色いたすきをあたしに見せた。
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