Move Out!
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あたしが眉を寄せると、土方さんは茶碗と箸を置いた。
「万が一、──」
「ちょ、──やめてくださいよ、そういう話の切り出し方は」
「お前ぇが露頭に迷わねぇためにも大事なことだ。ちゃんと聞いておけ」
あたしは憮然として口をつぐんだ。
「お前ぇがさっき言ったように、明日の朝、全員で出陣する」
「戦、ですか……?」
「【ごたごた】くれぇのもんだ。
しかし、相手のあることだから、その時になってみねぇとどうにも分からねぇ」
「分からねぇって、何が分からへんのです?」
興奮した口調になってしまったあたしに、土方さんは静かに言った。
「万一、俺たちが誰も戻らないときは──」
「ちょ──、【俺たち】って?」
「あーっ、もう、だから、試衛館の連中だよ。
お前ぇの知ってる奴が誰も戻らねぇときは、その二十両を持参金に八木さんに養女にしてもらえるよう話をつけてある。
証文にも、そう書いてあっただろうが」
「──へぇ?」
あたしの返事はすごく間抜けなものになった。
そんなこと、勝手に決められても困る。
「ちゃんとした家に嫁に出してもらえるよう、話をつけておいた。
もっとたくさん金を用意してやれると良かったんだが、お前ぇも知ってのとおり、俺たちゃ貧乏してるからな」
「そ、そんなこと勝手に決められたって──」
それ以上言うな、という風に土方さんが小さく笑みを浮かべた。
「万が一の話だ。
なぁに、ちょいと警護に出かけるだけだ。
本当のところは、何の心配もいらねぇ。
万に一つってぇ話だ」
Move Out!<1>/終