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(そんな怒らんでも……)
そう思ったとき、
「すまなかったな」
柄にもなく優しい声で土方さんが言った。
「バタバタすると、気が気じゃねぇだろう?」
それは、あたしが不安に思うだろうと少しは気配りしてくれてる──という意味に受け取っていいのだろうか。
「それから、」
そう言って、手紙みたいな包みをあたしに突き出した。
「これを持っておけ」
「──、なんなんです?フミ?」
「というより、証文みてぇなもんかな」
「証文?」
「中身を確かめておくといい」
「──今、見てもいいですか?」
「ああ、」
土方さんは、器用に魚のワタの上の身をとると、それをご飯と一緒に口の中に入れた。
カサカサ、と書状を開く音だけがする。
紙を広げて中を見てみると、誰の字だろう。
初めて見る字はいまだ読みにくいが、どうやら、【二十両を確かに預かりました】みたいなことが書いてある。
署名は──
「八木?……源之丞さん?」
「そうだ」
「お金預かってもらってるんですか?」
土方さんは、漬物をパリパリいわせている。
「お前ぇの持参金だ」
「──は?」
持参金、というのは、確か嫁にいくときに持っていくお金のことではなかったか。
(あたし、お嫁になんかいかへんけど)