お相撲さんがやってきた!
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島田は、前川邸の長屋門に自室を与えられている。
四畳半のその部屋は、入口に対面するように小さな窓が切られているが、風通しが良いとは言えなかった。
最近、陽が落ちるとわずかに気温が下がるようになったとはいえ、島田が居ればたちまち熱気がこもる。
そこで、入口の戸は開けっ放しにして、少しでも涼を得ようと、島田はごろんと仰向けに寝転がると、噴き出す汗を拭き拭き団扇をバタバタと動かした。
それにしても、大変なことになったものだ──島田は永倉から聞いた話を反芻していた。
島田は旧知の永倉を慕って浪士組に加わったものの、試衛館とは何の関係もなく、近藤、土方ともそう親しいわけではない。
芹沢たちとの間に派閥があることに気付いたのも、最近になってからのことだ。
(そこまで対立が激化していたとは……)
どちらにも関わらないようにするのが一番だと考えていた島田にとっては、困った事態になった。
(万一、芹沢たちから自分たちの派閥に加わるようにと言われるようなことにでもなればどうすればよいのやら……)
カラコロと数人の下駄の音が近づいてくる。
外に飲みに出ていた若い隊士たちも戻ってくる時刻なのだろう。
開け放した部屋の入口から、だらしなく寝転がっている姿を晒すのは良くないことだと考えて、島田は起き上がった。
「リキさん、ちょいと邪魔をするぜ」
顔を覗かせたのは、永倉だった。
その後ろに、藤堂と斎藤が続いている。
二人がきちんと袴を着けているのに対して、永倉は麻かたびらを着流しにして江戸前らしい粋な恰好をしていた。
島田は身を縮こめて、幹部隊士たちを部屋へ招き入れた。
男四人が入ると、狭い部屋の気温が一気に上昇する。
「あっちぃな、ここは」
永倉は、汗の浮いた顔をしかめながら、涼し気な麻かたびらの襟をみぞおちが見えるまで広げた。