家へ帰ろう
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翌日、あたしは叫び声で目を覚ました。
眉を寄せながら重いまぶたを持ち上げると、そこには何かに焦ったような顔をしている男性がいた。
「な、な、な、な、……!」
ゴリラっぽい顔をさらにゴリラに似せて、男性はあたしを凝視している。
その背後に、慌てた様子で【土方さん】が駆けつけた。
「何事だ!」
後から後から押し寄せるメンバーを【土方さん】が制止する。
そして動けないでいるゴリラ顔の男性の肩越しに部屋の中を覗きこみ、あたしを見て「あちゃー」と額に手を当てた。
【ゴリラ】は【土方さん】を振り返り見て、
「トシ、……お、お前の仕業か!?」
呆れたような、驚いたような調子で聞いた。
(声、裏返ってるし)
【トシ】と呼ばれた【土方さん】は、あたしをじろりと睨むと、
「なんてぇ格好してんだよ、お前ぇは……」
と、溜め息をついた。
あたしは自分を見下ろして、
「だって、……暑かったから」
夜中に目を覚ましたら、汗だくになっていたのだ。
暗闇の中、目を凝らしてみたがエアコンが点いている様子はなかった。
部屋にいるのはどうやらあたし一人らしいし、と着物を脱いでワンピース姿になり、ついでに、ご丁寧にぴったりと閉められていた障子を全開にして眠ったのだ。
お約束と言えばお約束だったが、障子を開けようと布団から這い出すと【蚊帳】にからめとられて焦った。
障子を開けても相変わらず暑かったので、もちろん掛布団は横にのけて眠った。
だから【ゴリラ】がここを覗いたときには、もしかしたらワンピースのすそがめくれ上がって、パンツが丸見えになっていたかもしれない──。