Missing Without A Trace
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おんぶしたみたいに、あたしの胸の前でクロスされている平助くんの腕を掴みながら小声で言った。
「昨日のこと、土方さん知ったはる?」
「たりめぇだろ、謝っといたほうがいいぞ」
あたしに腕を回したまま、耳元で平助くんは囁いた。
平助くんの腕から抜け出して、釣瓶を巻き上げている土方さんのもとに走った。
「昨日は、すみませんでした!」
最敬礼で謝る。
「馬鹿野郎!」──そうくると思ったのに、きゅるきゅる、と滑車の音だけが聞こえている。
恐る恐る顔をあげると、無表情な横顔があった。
「──すいませんでした、ご心配をおかけしたみたいで……」
土方さんは無言で釣瓶を巻き上げると、ざーっと桶に水を移した。
あたしがここにいることに気付いてないみたいに、ざぶざぶと顔を洗う。
やがて顔を拭くと、じろっとあたしを睨みつけた。
「すみませ──」
「何がすまねぇんだ」
「──えと、縁側で寝てしまって、……不用心でした。
それと、ご心配をおかけしたみたいやし……」
「別に心配なんかしてねぇ」
冷たく言われて、返答に困ってしまった。
「すいません……」
土方さんは、無言のままに下駄の音だけ鳴らして戻って行った。
(──しもたなぁ、)
その後ろ姿を見ていると、ぽん、と平助くんが肩を叩いた。
「大丈夫、すげー心配してたから」
平助くんは苦笑した。
なんか、すごくまずいことをしたような気がする。
(機嫌、直してくれはるやろか……)