Missing Without A Trace
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*
沖田が芹沢の部屋に足を踏み入れたそのとき、
「やった、」
梅は正座したまま、ぴょんと飛び上がった。
芹沢は不在のようだった。
「何がやったんです?」
沖田が蒲団に近づくと、思った通りのぞみが寝かされていた。
額の上に手拭いがのせられいた。
袴と洗濯物が枕元に畳んで置いてある。
「芹沢せんせぇと賭けをしたんどす。
誰が一番にここに踏み込んできはるか、て。
芹沢せんせぇは土方はんや言わはったけど、あては絶対に沖田はんやと思たんどす」
梅はにっこりと笑った。
「いややわ、なんちゅうお顔したはりますのん。
えらい汗やったさかい、あてが袴脱がしたんどす」
梅の美しい目が悪戯っ子にみたいに輝いていた。
「心配せんかて、芹沢せんせぇには指一本触らせてへんさかい。
そんな顔するんはやめよし」
沖田は怒ったように視線をそらせた。
「沖田はん、この子のこと気になったはりますやろ?」
「──な、」
頬が熱くなった。
──が、沖田は咳払いし、平静を装う。
「まあ、馬鹿だから、見てるだけで面白いっていう意味では気になりますけど?」
「でたらめに言うてるんとちゃいますえ。
どんだけ男見てきた思てはるん、あての目ぇは節穴ちゃいますのんえ」
梅はくすくす笑う。
「そやけど、案外恋敵は多おすえ。
まぁ、藤堂はんは見ての通りやし、原田はんはあわよくばの体(てい)やし、斎藤はんもチラチラ見たはる」
「一くんが?」
沖田は噴き出しそうになる。
意外だろうという風に、梅もくすっと笑った。
「そやけど、一番の強敵は土方はんや」
沖田は目を見開いたが、すぐに何でもないことのように言った。
「──まあ、土方さんはああ見えて面倒見がいいから。
でも、そういうんじゃないですよ」
梅はただ微笑んでいた。
Missing Without A Trace<2>/終