Missing Without A Trace
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「──へ?」
「君、芹沢の部屋で布団に寝てたんだよ」
(──え? え? なんで?)
血の気が引いていくのがわかる。
【手籠め】という言葉が頭の中を駆け巡った。
(なんか、された?!)
自身を見下ろしてみて驚愕した。
(ゆ、ゆ、ゆ、浴衣──?!)
(着替えてから寝たっけ?!!)
いや、そんなはずない。
とにかくだるくて眠くて、そのまま縁側にごろんと寝転がったはずだ。
(──うそやん、……)
(うそやん、うそやん、うそやん……!!)
(…………初めて、やったのに)
芹沢なんかに、ヤられるなんて。
(──最悪、)
それに、あたしを心配して気遣ってくれていた総司くんたちにも申し訳が立たない気がした。
(あそこでうたた寝なんかせぇへんかったら──)
(ていうか、舐めてた……)
自分に災難なんか降りかかるはずがない自信があった。
何の根拠もないのに。
後悔しても、もう遅いことは分かっている。
自業自得──受け入れるしかない。
命を取られなかっただけマシやった、と思うしかない。
(──いっそ、知らん間に殺しといてくれてもよかったけどなぁ)
そんな風にも思えた。
「縁側で死んだみたいに寝てた君を、芹沢が部屋に運んだみたい」
声が震えないように、泣き出しそうなのを悟られないように、慎重に明るく言った。
「大きなお世話やなぁ。
放っといてくれたら良かったのに。……なぁ、そう思わへん?」
総司くんは何も言わない。
沈黙に耐えかねて、あたしは続けた。
「ありがと!」
普段の調子で言えたと思う。
「おでこ、冷やしてくれてたんやろ?
もう大丈夫やから、寝てくれてええよ」
「──あ、」
総司くんは声を漏らすと、あたしの肩を掴んで頭を抱き寄せた。
あふれ出た涙を悟られないように、あたしは身体を固くする。
こんなことで泣くのは卑怯だ。
泣いて同情をひくようなことは卑怯この上ない。
しゃくり上げそうになるのを、必死にこらえた。
「心配しなくていいよ、何もされてないから。
お梅さんが一緒だったから」
総司くんは、とんとん、とあたしの背中を叩いてから、身体を離して立ち上がった。
「水を換えておくから」
桶を持って出て行った。