スパイ大作戦
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「あー、もう、袴までべちゃべちゃですよぉ?」
袴のひだをつまみ上げて、ぱんぱん、と叩いていると、近藤さんの声が土方さんの背後から聞こえた。
「──こ、これは失礼した!」
何やら、焦ったような言い方だ。
あたしは土方さんの身体の横から顔を出して、
「ああ、近藤さん」
「や、やあ、のぞみ君」
なぜか近藤さんの視線は泳いでいる。
立ち去ろうかどうか悩むようにして、意を決したようにひそひそ声で言った。
「トシ、せめて障子を閉めたらどうだ!」
どこか、非難めいた声色だ。
「──は、暑いじゃねぇか」
「し、しかし、まだ陽も高いことだし」
土方さんはぷっと噴き出した。
「近藤さん、何勘違いしてるんだ」
「──は?」
土方さんが向こうを向いて横に一歩踏み出したので、あたしは手拭いを持ったまま膝立ちの状態で取り残された。
近藤さんはキョトンとしている。
「──え?──あ?」
「茶をこぼしちまったんだよ。
それを、こいつが拭いてたんだ」
あたしは、ぷらぷらと手拭いを振る。
近藤さんは、ほっとしたように大きく息をついた。
「なんだ、そういうことか、驚いたぞ。
いくら恋仲だと言っても、屯所の中でしかも日の高いうちからはちょっとな」
近藤さんは照れたように言う。