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結局、初日の今日は何の収穫もなかった。
それにしても、何らかの成果をあげるまで、あたしは毎日毎日、あの鬼ごっこに付き合わないといけないのか……。
(山崎さんら、ようやるなぁ……)
(まあ、山崎さんの場合、炎天下で鬼ごっこしてるわけとちゃうやろけど……)
日焼けで火照った頬を冷やそうと、湯飲みに手を伸ばした。
「──おい、」
「はい?」
「俺の上にのるな」
「──ああ、すいません」
「余計に肩が凝るだろうが、馬鹿野郎」
あたしは、昼間の報告がてら、土方さんの肩を揉まされている最中なのだ。
土方さんの肩を乗り越えるように身を乗り出したものだから、肩の上にのっかるような形になってしまっていた。
「それに、人の茶を勝手に飲むなと何回言ったら──」
「飲みません、ほっぺた冷やすだけです」
「冷やすだとぅ?」
土方さんは、鬱陶しそうに片方の眉を上げる。
「熱い茶で、どうやって冷やすんだ馬鹿」
カチンときて、あたしは湯飲みを土方さんの頬に押し付けた。
「わっっ!!?」
大きな声を出してしまったのが恥ずかしいのか、ごほん、と咳ばらいをする。
「冷てぇな、馬鹿野郎」
あたしはおかしくなって笑い出した。
「何が可笑しい」