スパイ大作戦
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「のぞみはんて、面白いお人どすなぁ」
菊は、くすくす笑った。
沖田と初めて会ったのは、桜の蕾が膨らみ始めたころだったろうか。
ぶらりと境内に入ってきた涼やかな若侍に思わず見とれてしまって、一人で赤面しているところへ、その若者は声を掛けてきたのだ。
【一緒に遊んでもいいかな】
若々しい澄んだ声だった。
(お侍やのに、変なひと……)
そのどこか幼さの残る笑顔に、菊は頷いていた。
沖田は毎日のように境内にやってきては、子供たちと遊んだり、菊に故郷の話や京の話を面白おかしく聞かせてくれる。
物心ついた頃から、壬生村から出たことのない菊は、夢物語を聞くように夢中になった。
ところが、昨日になって、とつぜん【新人隊士】を名乗る女剣士が現れたのだ。
きりっとした眉に、切れ長な目が美しい。
(ああ、沖田はんと一緒にならはるんは、きっとこんなお人や……)
長身の彼女が沖田と立ち話をしている姿は、年長の女中仲間が持っている錦絵のように目を奪われた。
それと同時に、自分の姿を見下ろして惨めになる。
一生叶わぬ恋だと知りながらも、菊は、己の出自を恨まざるをえなかった。
(せめて、あての知らんお人と一緒になってほしい……)
だがどうだ、彼女は沖田とは別に男がいたのだ。
勘のいい五平が先程からかったのはそのことだ。
【良かったな、沖田がのぞみの男とちごて】
五平はそう仄めかして言ったのだ。