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総司くんの後について、あたしと平助くんは壬生寺までやってきた。
菊ちゃんが、本堂の前の階段に腰掛けているのが遠目に見えた。
子供たちも、階段に寝転がったりして涼んでいる。
「菊ちゃーん」
手を振ると、菊ちゃんは立ち上がって頭を下げた。
「へえ、可愛い子じゃあん」
平助くんが口角を上げる。
どん、と肘鉄を食らわせると、
「──ってーなぁ、何すんだよぉ」
「あかんで、手ぇ出したら」
「しねぇよ、そんなことぉ。俺には
のぞみがいるしぃ」
肩に腕を回してくる平助くんに、もう一度肘鉄を食らわせた。
菊ちゃんは、にこにこしてあたしと平助くんのやりとりを見詰めていた。
「あ、これ、藤堂平助」
紹介すると、
「これ、ってなんだよ。これって!」
平助くんが、あたしを小突いた。
「へーすけ君とか、へーちゃんて呼んでくれたらええから」
菊ちゃんは、くすくす笑っている。
そこへ、五平がやってきた。
「やっと戻ってきたか」
やれやれ、という表情を作った。
「二人でお楽しみのところ来てもらったんだんだからね」
総司くんが五平に言った。