団子屋の男
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あたしを縁台に座らせると、男性は店の人を呼んだ。
「こいつに一皿食わしたってくれ」
「へえ、才谷はん。そやけど、お代はちゃあんと払てもらいますえ」
金払いが悪いのか、店のおばちゃんは鬱陶しそうにサイタニさんを見た。
確かに、身なりが良いとは言えない。
もともとは黒紋付だったのかもしれないが、日に焼けて変色し、もはや【黒】とは言えないし、それにどこか埃っぽい。
だが、人の良さそうな笑顔は、どこか親しみを覚えた。
「サイタニさん、いうんですか?」
「おう、才谷梅太郎じゃ」
(変な名前……)
笑いそうになるのをこらえて、あたしは「ふうん」と相槌を打った。
「おまん、名はなんちゅうんじゃ」
あたしは、ちらりと才谷さんの顔を見る。
「よう知らん人に名前教えられません」
才谷さんは、顔をしかめたところに運ばれてきた皿を、
「どうぞ」
にこにこ顔を作ってあたしの方へ押し出した。
「団子を食わしちゃる仲じゃ。
名前が分からんと、何て呼んだらええか分からんしにゃあ」
あたしは苦笑した。
このどこか人好きのする顔の才谷さんが悪い人のようには思えない。
「のぞみです。山本のぞみ」
「ほう、のぞみか。珍しい名やにゃあ」
「そうですか?【才谷】いうんも、初めて聞く苗字ですけど」
「ほう、そうか?」
才谷さんは、顎を撫でて眉をしかめた。