団子屋の男
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三条から上(かみ=北)は、また雰囲気ががらりと変わった。
大きなお屋敷が立ち並ぶようになる。
「すごいお屋敷ですね、」
あたしは高い塀を見上げるようにして言った。
「大名屋敷だよ」
土方さんも、同じように見上げるようにして言った。
「大名屋敷?」
「ああ、この辺りは大名たちの屋敷が立ち並んでる」
「藩邸ってやつですか?」
「はんてい?」
土方さんは逆に聞き返してきた。
「はい、何とか藩っていうんでしょ?」
廃藩置県という言葉くらいあたしだって知っている。
「何だ、その【はん】てぇのは」
「──え、藩っていうんとちゃうんですか?
例えば、加賀百万石の加賀藩とか」
「さあ?俺たちゃ加賀の国って言ったりするけどな」
あたしたちが、ごちゃごちゃと大きな声でしゃべっていたからだろうか。
門の前を通ると、門番がじろりとこちらを睨みつけた。
そのあとも、大名屋敷が並ぶ、さして面白くもない通りをうろうろして退屈していると、
「お前ぇ、足抜けってぇのは出鱈目なんだろう?」
土方さんがそう言ってきた。
「デタラメも何も、勝手に土方さんがそう決めつけはったんやないですか」
「そうだったな」
土方さんは小さく笑い、
「しかし、あん時ぁ、そうでも言わなきゃ、放り出すほかなかったじゃねぇか」
「あ、なるほど。
ほな【ありがとうございました】言わなあきませんね」
あたしも笑った。
「ほな、信じてくれはったんですか。未来から来たって話は」