団子屋の男
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何が書いてあるのかさっぱり分からない手紙をお手本にして、とりあえず書き写すことしばらく。
肩を掴まれて、ぎくりとして振り返った。
「飯を食いに出よう」
「──あ、もうそんな時間ですか?」
「ああ、」
土方さんは、あたしが書いていた紙を何枚か取り上げた。
パラパラとそれを繰り、驚いたように目を見張る。
「お前ぇ、上手ぇな!」
「そうでしょ!?」
そもそも、あたしはお絵かきが得意だし、他人の筆跡を真似るくらい、大して難しいことではない。
何枚も書き写しているうちに【偽造書類作れるんちゃう?】レベルに達していた。
「なんて書いてあるのかは、分かりませんけど」
「問題は、むしろそっちだな……」
土方さんは言って、あたしの頬を親指でこすった。
「墨がついてるぞ」
「す、すいません……」
土方さんは小さく笑った。
「何が食いたい?」
そう訊かれたので、以前平助くんたちと一緒に行ったうどん屋さんに行きたいと提案した。
あたしの部屋の前を通りかかった時、思い出したように土方さんが訊いた。
「そういや、失くし物は見つかったのか?」
「なくし物?」
「ああ、斎藤が縁の下を覗いていたから【何をしてる】と訊くと、お前ぇが失くした【ばってら】を捜していると言っていたが」
あたしは思わず噴き出した。
(【ばってら】て、お寿司やん!)
「ええんです。もう、大丈夫なんで」
「見つかったのか、【ばってら】とやらは?」
「はい」
あたしはクスクス笑いながら言った。
団子屋の男<1>/終