団子屋の男
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「──何してる、もう書き始めていいぞ?」
土方さんが話し始めて、ものの5秒も経たないうちにあたしは音を上げた。
話の内容がさっぱり分からないし、聞き取れない。
辛うじて、【そうろう】というのは聞き取れるが、どんな漢字だったか思い出せない。
(そもそも漢字やったっけ、【そうろう】って……)
あたしは、がっくりと肩を落とした。
「あの、……やっぱり、知的活動は無理なようです」
「はぁっ?」
「──っていうか、なんでそんなしゃべり方なんです?
もっと、普段のしゃべり口調じゃダメなんですか」
「何言ってやがる。
手紙(ふみ)ってぇのは、そういうもんだろうが」
いい考えだと思ったのに──。
「字が読めねぇのか?」
「字は読めます」
「本当かァ?」
「ほんまですって。
そうやなかったら、そもそも【お手紙代筆します】とか言い出さないでしょ、普通」
「そんじゃ、これ読んでみろ」
ぬっと突き出された手紙のような紙を手に取って、あたしは目をぱちぱちさせた。
(なにこれ、)
(ぜんっぜん、読めへん……)
「あの、……」
「なんだ、読めねぇのか」
「読めるんですけど、こういう、ミミズの這(ほ)うたような字はちょっと……」
「ミミズがなんだってェ?」
土方さんは鬱陶しそうに言った。
「てことで、やっぱり知的活動はあきらめます……」