団子屋の男
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「別に、なんにも──」
あたしの返事も聞かずに土方さんは男性に言った。
「さっきも話したが、浪士組で預かることにした【のぞみ】だ。
今後、面倒掛けることもあるかもしれないが宜しく頼む」
あたしの紹介をしてくれた。
あたしは慌てて庭に下り立って頭を下げる。
「よろしくお願いします」
頭を上げて男性を見ると、大きな身体にいかつい顔つき。
(プロレスラーみたい……)
だが、次の瞬間、彼はくしゃりと表情を崩した。
「島田です。こちらこそ、よろしくお願い申し上げます」
(可愛いかも。クマさんみたい!)
「では、副長」
島田さんが立ち上がった。
「島田さん、背ぇおっきいですね!」
あたしは思わずそう言っていた。
島田さんは、くしゃりと笑む。
「俺は六尺ありますからね」
「6尺!」
たしか、一尺は30センチくらいだったはず。
だとしたら、【180センチ】。名実ともに長身、というか巨漢だ。
「おでこ、鴨居にぶつけたりしませんか?」
島田さんは笑みを浮かべたまま、
「ここは慣れましたが、初めて伺うお宅では気を抜くとやってしまいます」
そう言って額を手で押さえた。