屯所
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あたしは、半歩後ずさって、
「えと、やっぱり、ご迷惑でしょうし、あたしはここで失礼させていただこうかなーと……」
羽織を返したいが、脱ごうとすればまたそれを止められるに違いない。
相変わらずこちらを睨みつけている彼らの隙をついて駆け出そう。
思わず襟を押さえている手に力が入った。
すると、一人が破顔した。
「そんな、緊張すんなって!とって食ったりしないからさあ」
「それにしても、どうしたんだ?ひでぇ格好だな。暴漢にでも襲われたか?」
座りながらにも長身と分かる男性(結構目鼻立ちが整っている)が、羽織からむき出しになっているあたしの膝から下を見て【土方歳三】に目配せする。
「そこのところは、よく分からんというか、どうにも話が通じ合えねぇんだ」
【土方歳三】がため息をついた。
「辛くて話せないんじゃねぇのか?スネに青あざ作ってるし、髪もひでぇことになってるじゃねぇか、可哀相に」
もう一度、長身のイケメンが言った。
(──髪?)
(まあ、だいぶボサってるかも……)
ポニーテールにするには少し短すぎる髪を無理矢理くくったものだから、きっと今はひどい状態に違いない。
(そやからって、それをネタにせんでも……)
それに青アザは、今朝、忘れ物を取りに二階へ駆け上がった際に階段を踏み外してつけたものです──とはとても言い出せない雰囲気。
彼らのストーリーとしては、さしずめあたしは【暴漢に襲われた可哀相なオナゴ】といったところだろう。
その演技に水を差して逆上させてはいけない。
「とにかく、着替えなよ。俺の着物を貸してやるからさ」
「そ、背丈からして【ヘースケ】のが一番ぴったりきそうだからさ。頼んでおいたんだ」
【沖田総司】が言った。
【ヘースケ】というのが役名なのか本名なのか分からないが、「緊張すんなって」と最初に声を掛けてくれた彼がにっかと笑う。
「すまねぇな」
【土方歳三】は【ヘースケ】に向かって言って着物を受けとると、
「こっちへ来い」
と、あたしを促した。
(あたしにもコスプレさせてくれるってことなんかな……?)
そんなサービス、有難迷惑以外のなにものでもない。
(けど、逆らうのもどうかと思うしな……)
仕方なく、あたしはサンダルを脱いで、室内に上がった。
「ほら、こっちこっち」
【ヘースケ】がこちらまでやってきて手招きする。
「怖がらなくていいって。何にもしねぇからさ」
人懐っこい笑みを浮かべる【ヘースケ】の後について、車座になっている男性たちの間を通り抜けた。