鬼ごっこ
お名前
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「名前ー!あーそーぼー!」神威は名前の家の前で大きな声で名前を呼んだ。
「いーいーよー!」名前も待ってましたと家の窓から顔を出し、呼びかけに応じた。そして、二人はいつもの空き地へ向かった。
「今日は鬼ごっこしようよ。」
「いいよー。」
「じゃあ名前が鬼ね。」
「えええ、昨日も鬼だったのにー。」
「だって名前、昨日俺を捕まえられなかったじゃないか。続きだよ。」
「だって神威くん速すぎるんだもん。」
「名前が遅すぎるんだよ。夜兎だったらもうちょっと速く走れないと。」
「ぶー、分かったよお。」
「じゃあ10秒数えるんだよ!」
「はーい。1、2、3…」
※
「えーん、えーん、いたいよぉぉ。」
「ありゃりゃ、派手にコケちゃったね。大丈夫?」
「血が出てるよぉ。いたいよぉぉ。」
「見せてごらん。・・・なんだ、これくらい。大したこと無いじゃないか。帰るころには治るよ。」
「そんなの神威くんだけだよぉぉ。私は治らないもんー。お家帰りたいぃぃ。」
「名前は弱虫だな、今日は帰るかい?」
「・・・うん。」
「おんぶしてあげる。」
「えへへ、ありがとう。神威くん。」
「よいしょ、名前は軽いな。もっと食べないと、強くなれないよ。」
「頑張っても、神威くんほどは食べられないよ。」
「そうかな?」
「そうだよ。」
「・・・ケガ、治ってきてるんじゃない?」
「うーんと…まだ全然みたい。」
「ふーん…遅いね。名前も夜兎なのにね。」
「えっとねー、お父さんとお母さんが、大きくなったら神威くんみたいに強くなれるよって言ってた。」
「そっか、名前も早く俺みたいに強くなるんだよ。」
「うん!がんばる!・・・でも明日はかくれんぼがいいな。」
「・・・仕方ないな。」
※
「名前ー!あーそーぼー!」
「いーいーよー!」
「名前、ちゃんとケガは治ったかい?」
「うーんとね、カサブタになった!見て!」
「・・・?カサブタになったんだ。夜兎なのにね。俺ならすぐに治っちゃうんだけどな。」
「そうなんだ、神威くんは強いね!」
「まあ、名前よりはね。」
「私も大きくなったら強くなれるもん!」
「早くそうなってもらわないと。俺は弱い奴に用はないからね。さて、今日はかくれんぼだったよね、早くしようよ。」「うん!」
「でも、明日は鬼ごっこだよ。」「・・・うん。」
※
「名前ー!あーそーぼー!」
「名前ー?あーそーぼー!」
・・・名前からの返事がない。
「おかしいな…いつもならすぐ出てくるのに。名前ー?入るよー?」
ガララ…鍵が掛かっていないようだ。
(こんな治安の悪いところで…不用心だな。)
「名前ー?いるのー?・・・!?」
神威は名前の家が酷く荒らされていることに気が付いた。
「これは…酷いな。強盗にでも襲われたのか?」いや、でも夜兎族がそんな簡単にやられるとは思えないし…神威がそんなことを考えていると、押し入れから微かに鼻を啜る音が聞こえた。
「・・・名前、そこにいるの?」
「・・・!か、神威くん…?」
神威がいることに気付いた名前が、恐る恐る押し入れから出てきた。
「・・・名前、いったい何、「うわぁぁ!神威ぐーん!!おどうざんと、おがあざんがぁぁ!!」神威の姿を見て、緊張の糸が解けた名前は神威にしがみついて大声で泣き始めた。
「!?ど、どうしたの、名前?」突然のことに困惑する神威だったが、なんとか名前を落ち着かせるため、名前をおんぶして、いつもの空き地へと向かうことにした。
※
「どう、名前?ちょっとは落ち着いた?」
「うん。ありがとう、神威くん。」
名前はまだズビズビと鼻をすすっているが、先程よりはずいぶんマシになった。
「いったい何があったんだい?」
「・・・昨日の夜ね、突然家に怖い人たちが来て、うっ…ううっ…。」
「よしよし、泣かないでよ。」
「うん…。それでね、お父さんと、お母さんを、連れて…いっちゃった…。」
名前は昨日の夜の出来事を神威に話した。名前の両親は昔とある組織に所属しており、人身売買を行っていたらしい。それに嫌気がさした二人は最後の仕事に出たタイミングで、組織を抜けてここに住み着いていたようだ。
「最後の仕事先がチキュウっていうところで…そこで、私を拾ったんだって…。」
「・・・え。」
「神威くん、私、夜兎じゃ、なかったみたい…。」神威くんみたいに、強くなれないや、と名前は悲しそうに神威を見た。
「・・・そっか、そうだったんだ。名前、夜兎じゃなかったんだ。」
「・・・うん。」
「ずーっと変だと思ってたんだよね。足も遅いし、傷の治りも遅いし、日傘も持ってないし。」
それなら納得だよ、と神威は空を見上げた後、立ち上がった。
「・・・帰るの?」
「まあね、名前も気をつけて帰るんだよ。」
「・・・明日は遊んでくれる?」
「さあね、分からないな。」そう言って神威は自分の家へ帰って行った。
両親が連れ去られたこと、自分が本当の子供ではなかったことなど、昨晩で名前が受けた衝撃は甚大なものであったが、夜兎ではない自分と神威が遊んでくれなくなることが、とてもショックだった。
(神威くん、弱い奴に用はないって言ってたもんね…。もう、遊んでくれないのかな…?)
その日、いつもの雨傘を持って出てきていなかった名前は、ずぶぬれで家路に着くこととなった。
次の日、その次の日も神威は来なかった。
(・・・やっぱり来ないよね。お父さんもお母さんも、どうなったのか分からないし…私、いったいどうしたら…。)
「うっ、うう…。」泣いてる時に慰めてくれる両親も、友達もいなくなってしまった。もう名前は一人で生きていくしかないのだ。
(私、強くならなきゃ…)
※
「名前ー!あーそーぼー!」神威は名前の家の前で大きな声で名前を呼んだ。
「か、神威くん!?」名前は数か月ぶりの訪問者に驚いて飛び出た。
「やあ、名前。久しぶりだね。」
「久しぶり、だね。神威くん。」
「空き地にでも行くかい?」
そうだね、と二人は久しぶりに空き地に向かった。
「もう来ないと思ってたよ。」
「そうなの?」
「神威くん、弱い奴に用はないって言ってたから。」
「まあね。でも名前も一人で生きてきたじゃないか。少しは強くなったんじゃない?」
「そう、なのかな?そうだといいな。」
「・・・名前、『侍』って知ってるかい?」
「侍?いや、聞いたことないな。」
「何でも、チキュウにいるすごく強いヤツらのことらしいよ。」
「へー、そう…え、チキュウ?」
「そう、チキュウ。名前の出身だろ?」神威が自分の出身を覚えていたことに驚く名前。
「覚えてたんだ…。」
「・・・?当然だろ?あれから俺、チキュウのこと調べてたんだから。」
「へ…?そうなの?全然知らなかった。」
「うん。それで俺、ここを出ることにしたよ。」
「ええ!?」
「宇宙には強い奴がたくさんいるんだよ。いつかチキュウに行って、侍と戦ってみたいな。」
(ああ、そっか。今日は最後の挨拶に来てくれたんだ…。)
「そっか…。神威くんなら、その侍って人にも絶対勝てると思う。会えなくなるのは寂しいけど。」
応援してるよ、と名前が言うと神威はポカンとした顔をした。珍しいな…
「何言ってるの?名前も一緒に来るんだよ。」
「・・・は、はぁぁ!?」
「だからこうして迎えに来たんじゃないか。」
「え、迎えにって…。」もしかして、今から…?驚きすぎて言葉が出てこない名前。
「それに、名前の両親のことも何か分かるかもしれないよ。最後にチキュウに行ったんだろ?」
「!!た、確かに…。」両親が何をしてたのか、今どうなっているのか私も知りたい、けど、
「けど、たぶん私、神威くんと宇宙でやっていけるほど強くないよ。」
「それなら心配いらないよ。言ったろ?侍はすごく強いんだよ。」神威の言っていることが理解できない名前。侍がすごく強いことと自分に何の関係があるのか。
「チキュウの侍が強いってことは、名前も侍みたいになれるってことでしょ?」
「え。」ど、どうだろ…?
「というか、なってもらわなきゃ。はい、プレゼント。」神威は名前に日傘を渡す。
「日傘…?って思たっ!!」その日傘は神威のより少し小ぶりだが、さすがは夜兎の武器といったところだろう、その丈夫さと重さはハンパではない。
「名前にはそれを軽く扱えるようになってもらうよ。」
「私が、これを…。」神威には申し訳ないが、正直持ち上げるのがやっとだ。果たして、そんな日が来るのだろうか。そんな、日傘と格闘する名前を神威はジッと見ていた。
「・・・名前はまた痩せちゃったね。でもこれからはいっぱい食べて丈夫な身体になるんだよ。丈夫な身体になったら、そうだな…名前には、」
俺の子どもを産んでもらおうかな。
ドシャッ!
「は…はぁぁ!?っいっだぁ!!」神威の爆弾発言に日傘を足に落としてしまった。
「ありゃりゃ、名前はドジだな。そんなんじゃ強くなれないぞ。・・・それに、俺もこのままじゃハゲオヤジをヤレないって分かったし。」
(ハゲオヤジ、ってお父さんのこと…だよね?え、お父さんに何したの神威くん…。)
「ほら、今から行くよ。早く傘持って。」
「え!?う、うん。」「走るよ!」
そう言って神威は名前の手を掴み、走り出した。
《グンッ!!》
(わっ!速…!!)
神威が何処に向かって走っているのか、名前には分からない。それでも、神威に付いていきたい、そう思ったのだ。
(私が侍みたいに、神威くんみたいに、強くなったらまた鬼ごっこしようね!今度は絶対…捕まえてみせるよ!)
ー「名前ー!今日、侍に会ったよ!」
ー「ああそっか、地球で任務だったもんね。どうだったの?」
ー「なんと、鳳仙の旦那を倒しちゃったよ。」
ー「ええ!?鳳仙って、あの夜王鳳仙のことだよね…?うわ、『侍』ヤバ。・・・勝てそうなの?」
ー「何言ってんのさ、当たり前だろ。俺が勝つさ。」
「いーいーよー!」名前も待ってましたと家の窓から顔を出し、呼びかけに応じた。そして、二人はいつもの空き地へ向かった。
「今日は鬼ごっこしようよ。」
「いいよー。」
「じゃあ名前が鬼ね。」
「えええ、昨日も鬼だったのにー。」
「だって名前、昨日俺を捕まえられなかったじゃないか。続きだよ。」
「だって神威くん速すぎるんだもん。」
「名前が遅すぎるんだよ。夜兎だったらもうちょっと速く走れないと。」
「ぶー、分かったよお。」
「じゃあ10秒数えるんだよ!」
「はーい。1、2、3…」
※
「えーん、えーん、いたいよぉぉ。」
「ありゃりゃ、派手にコケちゃったね。大丈夫?」
「血が出てるよぉ。いたいよぉぉ。」
「見せてごらん。・・・なんだ、これくらい。大したこと無いじゃないか。帰るころには治るよ。」
「そんなの神威くんだけだよぉぉ。私は治らないもんー。お家帰りたいぃぃ。」
「名前は弱虫だな、今日は帰るかい?」
「・・・うん。」
「おんぶしてあげる。」
「えへへ、ありがとう。神威くん。」
「よいしょ、名前は軽いな。もっと食べないと、強くなれないよ。」
「頑張っても、神威くんほどは食べられないよ。」
「そうかな?」
「そうだよ。」
「・・・ケガ、治ってきてるんじゃない?」
「うーんと…まだ全然みたい。」
「ふーん…遅いね。名前も夜兎なのにね。」
「えっとねー、お父さんとお母さんが、大きくなったら神威くんみたいに強くなれるよって言ってた。」
「そっか、名前も早く俺みたいに強くなるんだよ。」
「うん!がんばる!・・・でも明日はかくれんぼがいいな。」
「・・・仕方ないな。」
※
「名前ー!あーそーぼー!」
「いーいーよー!」
「名前、ちゃんとケガは治ったかい?」
「うーんとね、カサブタになった!見て!」
「・・・?カサブタになったんだ。夜兎なのにね。俺ならすぐに治っちゃうんだけどな。」
「そうなんだ、神威くんは強いね!」
「まあ、名前よりはね。」
「私も大きくなったら強くなれるもん!」
「早くそうなってもらわないと。俺は弱い奴に用はないからね。さて、今日はかくれんぼだったよね、早くしようよ。」「うん!」
「でも、明日は鬼ごっこだよ。」「・・・うん。」
※
「名前ー!あーそーぼー!」
「名前ー?あーそーぼー!」
・・・名前からの返事がない。
「おかしいな…いつもならすぐ出てくるのに。名前ー?入るよー?」
ガララ…鍵が掛かっていないようだ。
(こんな治安の悪いところで…不用心だな。)
「名前ー?いるのー?・・・!?」
神威は名前の家が酷く荒らされていることに気が付いた。
「これは…酷いな。強盗にでも襲われたのか?」いや、でも夜兎族がそんな簡単にやられるとは思えないし…神威がそんなことを考えていると、押し入れから微かに鼻を啜る音が聞こえた。
「・・・名前、そこにいるの?」
「・・・!か、神威くん…?」
神威がいることに気付いた名前が、恐る恐る押し入れから出てきた。
「・・・名前、いったい何、「うわぁぁ!神威ぐーん!!おどうざんと、おがあざんがぁぁ!!」神威の姿を見て、緊張の糸が解けた名前は神威にしがみついて大声で泣き始めた。
「!?ど、どうしたの、名前?」突然のことに困惑する神威だったが、なんとか名前を落ち着かせるため、名前をおんぶして、いつもの空き地へと向かうことにした。
※
「どう、名前?ちょっとは落ち着いた?」
「うん。ありがとう、神威くん。」
名前はまだズビズビと鼻をすすっているが、先程よりはずいぶんマシになった。
「いったい何があったんだい?」
「・・・昨日の夜ね、突然家に怖い人たちが来て、うっ…ううっ…。」
「よしよし、泣かないでよ。」
「うん…。それでね、お父さんと、お母さんを、連れて…いっちゃった…。」
名前は昨日の夜の出来事を神威に話した。名前の両親は昔とある組織に所属しており、人身売買を行っていたらしい。それに嫌気がさした二人は最後の仕事に出たタイミングで、組織を抜けてここに住み着いていたようだ。
「最後の仕事先がチキュウっていうところで…そこで、私を拾ったんだって…。」
「・・・え。」
「神威くん、私、夜兎じゃ、なかったみたい…。」神威くんみたいに、強くなれないや、と名前は悲しそうに神威を見た。
「・・・そっか、そうだったんだ。名前、夜兎じゃなかったんだ。」
「・・・うん。」
「ずーっと変だと思ってたんだよね。足も遅いし、傷の治りも遅いし、日傘も持ってないし。」
それなら納得だよ、と神威は空を見上げた後、立ち上がった。
「・・・帰るの?」
「まあね、名前も気をつけて帰るんだよ。」
「・・・明日は遊んでくれる?」
「さあね、分からないな。」そう言って神威は自分の家へ帰って行った。
両親が連れ去られたこと、自分が本当の子供ではなかったことなど、昨晩で名前が受けた衝撃は甚大なものであったが、夜兎ではない自分と神威が遊んでくれなくなることが、とてもショックだった。
(神威くん、弱い奴に用はないって言ってたもんね…。もう、遊んでくれないのかな…?)
その日、いつもの雨傘を持って出てきていなかった名前は、ずぶぬれで家路に着くこととなった。
次の日、その次の日も神威は来なかった。
(・・・やっぱり来ないよね。お父さんもお母さんも、どうなったのか分からないし…私、いったいどうしたら…。)
「うっ、うう…。」泣いてる時に慰めてくれる両親も、友達もいなくなってしまった。もう名前は一人で生きていくしかないのだ。
(私、強くならなきゃ…)
※
「名前ー!あーそーぼー!」神威は名前の家の前で大きな声で名前を呼んだ。
「か、神威くん!?」名前は数か月ぶりの訪問者に驚いて飛び出た。
「やあ、名前。久しぶりだね。」
「久しぶり、だね。神威くん。」
「空き地にでも行くかい?」
そうだね、と二人は久しぶりに空き地に向かった。
「もう来ないと思ってたよ。」
「そうなの?」
「神威くん、弱い奴に用はないって言ってたから。」
「まあね。でも名前も一人で生きてきたじゃないか。少しは強くなったんじゃない?」
「そう、なのかな?そうだといいな。」
「・・・名前、『侍』って知ってるかい?」
「侍?いや、聞いたことないな。」
「何でも、チキュウにいるすごく強いヤツらのことらしいよ。」
「へー、そう…え、チキュウ?」
「そう、チキュウ。名前の出身だろ?」神威が自分の出身を覚えていたことに驚く名前。
「覚えてたんだ…。」
「・・・?当然だろ?あれから俺、チキュウのこと調べてたんだから。」
「へ…?そうなの?全然知らなかった。」
「うん。それで俺、ここを出ることにしたよ。」
「ええ!?」
「宇宙には強い奴がたくさんいるんだよ。いつかチキュウに行って、侍と戦ってみたいな。」
(ああ、そっか。今日は最後の挨拶に来てくれたんだ…。)
「そっか…。神威くんなら、その侍って人にも絶対勝てると思う。会えなくなるのは寂しいけど。」
応援してるよ、と名前が言うと神威はポカンとした顔をした。珍しいな…
「何言ってるの?名前も一緒に来るんだよ。」
「・・・は、はぁぁ!?」
「だからこうして迎えに来たんじゃないか。」
「え、迎えにって…。」もしかして、今から…?驚きすぎて言葉が出てこない名前。
「それに、名前の両親のことも何か分かるかもしれないよ。最後にチキュウに行ったんだろ?」
「!!た、確かに…。」両親が何をしてたのか、今どうなっているのか私も知りたい、けど、
「けど、たぶん私、神威くんと宇宙でやっていけるほど強くないよ。」
「それなら心配いらないよ。言ったろ?侍はすごく強いんだよ。」神威の言っていることが理解できない名前。侍がすごく強いことと自分に何の関係があるのか。
「チキュウの侍が強いってことは、名前も侍みたいになれるってことでしょ?」
「え。」ど、どうだろ…?
「というか、なってもらわなきゃ。はい、プレゼント。」神威は名前に日傘を渡す。
「日傘…?って思たっ!!」その日傘は神威のより少し小ぶりだが、さすがは夜兎の武器といったところだろう、その丈夫さと重さはハンパではない。
「名前にはそれを軽く扱えるようになってもらうよ。」
「私が、これを…。」神威には申し訳ないが、正直持ち上げるのがやっとだ。果たして、そんな日が来るのだろうか。そんな、日傘と格闘する名前を神威はジッと見ていた。
「・・・名前はまた痩せちゃったね。でもこれからはいっぱい食べて丈夫な身体になるんだよ。丈夫な身体になったら、そうだな…名前には、」
俺の子どもを産んでもらおうかな。
ドシャッ!
「は…はぁぁ!?っいっだぁ!!」神威の爆弾発言に日傘を足に落としてしまった。
「ありゃりゃ、名前はドジだな。そんなんじゃ強くなれないぞ。・・・それに、俺もこのままじゃハゲオヤジをヤレないって分かったし。」
(ハゲオヤジ、ってお父さんのこと…だよね?え、お父さんに何したの神威くん…。)
「ほら、今から行くよ。早く傘持って。」
「え!?う、うん。」「走るよ!」
そう言って神威は名前の手を掴み、走り出した。
《グンッ!!》
(わっ!速…!!)
神威が何処に向かって走っているのか、名前には分からない。それでも、神威に付いていきたい、そう思ったのだ。
(私が侍みたいに、神威くんみたいに、強くなったらまた鬼ごっこしようね!今度は絶対…捕まえてみせるよ!)
ー「名前ー!今日、侍に会ったよ!」
ー「ああそっか、地球で任務だったもんね。どうだったの?」
ー「なんと、鳳仙の旦那を倒しちゃったよ。」
ー「ええ!?鳳仙って、あの夜王鳳仙のことだよね…?うわ、『侍』ヤバ。・・・勝てそうなの?」
ー「何言ってんのさ、当たり前だろ。俺が勝つさ。」
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