負け犬
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そいつの居場所はいとも簡単に掴むことができた。バンド名を検索すると、かぶき町のとあるライブハウスでライブをしていることが判明したのだ。
そこで、そのライブハウスの前で出待ちをすることにした。
ソワソワ…ソワソワ…
「オイ。」
ウロウロ…ウロウロ…
「オイ、ちったァ落ち着かねぇか。」
「だってーー!久しぶりにアイツと顔合わせると思ったらなんか落ち着かないんだもの!」
「ハァ、そんな調子でどうすんですかィ。いくら特訓したとはいえ、警戒してる相手に打ち込むのは難しいですぜ、油断させねぇと。そのためにはまず平静を装わねぇといけやせん。」それが難しいから今こんなにソワソワしてるんでしょうがぁぁ!
「おっと、そろそろ出てくるんじゃねえんですか?じゃあな、頑張れよ。」「ええ!?一緒にいてくれないの!?なんで!?」「何でって。さっき言ったでしょう、油断させねぇといけねえって。それなのに俺が近くにいたら警戒されまくりでさァ。」た、確かにー!!えぇぇ、でもぉぉ。
「名前、アンタは毎日努力して万屋の旦那や土方のヤローを打ったんだ。自信を持ちなせェ。」
「沖田クン…」
「それに、アンタはこの俺が見込んだ女でさァ。憎きアンチキショーなんかに負けるかよ。」
「沖田クン…!」
2人は拳を固く握り合った。名前の手は少し震えている。
「・・・名前、手「沖田クン、これは武者震いだよ。」
「ふっ、言うようになりやしたね。名前、蝶のように舞い、蜂のように刺すんですぜ。じゃあ俺は行きやす。」と言って沖田は手をひらひらと振りながらその場をあとにした。
あ、どこに行くか聞くの忘れた。
※
「ひ、久しぶり。」
「・・・。なんだ、テメエか。」
「だあれ、この人ー?」「前のオンナだよ。」
出てきた。平常心平常心、私は蝶であり蜂なのだ。
「何か用かよ。」「久しぶりにちょっと話がしたくてね。」チラ、と隣の女の人を見る。不服そうな顔をしたものの、早く終わらせてよ、と言って少し離れた場所に行ってくれた。モチロンそのつもりです!
「で、話って?ってか出待ちって。未練か?」ジリ…と近づくとヤツはピクリと動いた。
「(私は蝶、私は蝶…)やだなー、そんなんじゃないよ。ただ、一言お礼でも言っとこうかなって。」ヤツは、お礼?と不思議そうな顔をした。1歩近づく。
「ほら、前にさ『つまんねぇ』って言われたじゃない?」また1歩。
「それでね、あれからまあ色々あって私変われた気がするだよねー。だから、お礼。」
「ふーん。確かに、前はそんな汚えジャージなんか着てなかったな。」ギャハハ、と笑っている。もう目の前。「・・・だ。」「え、何?」「これは私の戦闘服だぁぁぁーー!!!」「ンギェェェ!!!???」やったよ!沖田クン!!私、蜂になったよ!!にしても汚え悲鳴だな!ペッ!
私がWINNERのポーズをしていると、ヤツの悲鳴に先ほどの女の人が急いで近づいてきた。
「ちょっと!何したの!?」
「ちょっとばかし急所を…。」
はぁ!?という彼女に事情を説明すると、無言で近くに転がっていた酒瓶を手に取り、肩をブンブンと振り回しながらヤツの元へと向かっていった。
《バリーーーン!!!》
さて、私も行くとしよう。
※
とある居酒屋の扉を開く。やっほーおやじさん、また来たよ!
「おせーでさァ。」
「やっと見つかったぁーー。」普通に公園にいると思ったよねー!だいぶ探しちゃったよー!?
「よーよー!名前ちゃん遅えーじゃあねぇか、銀さん待ちくたびれちゃったよォー?」「旦那はただ飲んだくれてただけでしょ。」「銀時サン…いたんだ。」「ちょ、名前ちゃん辛辣なんだけどォ。何!?総一郎くんしか目に映りません的な!?妬けちゃうなー!銀さんと過ごした熱い日々は何だったの!?」「旦那、飲みすぎでさァ。」
へいへい、お邪魔虫は帰りますーと銀時サンは帰って行った。え?私のこと待ってたんじゃないの?ホントにただ飲んでただけじゃん。
「まぁ隣座りなせぇよ。」
「う、うん。」
「まぁ飲みなせぇ。」
「あ、ありがとう。」くぴくぴ…沁みるわぁ!
「まぁ食いなせぇ。」
「あ、ありがとう。」もぐもぐ…うまぁ!
くぴくぴ、もぐもぐ、くぴくぴ、もぐもぐ。ふぅ。
「あのね沖田クン、私ね本当はちょっと怖かったんだー。もし失敗したら、また酷くやり返されちゃうんじゃないかって。そしたら不安になって、泣きそうになったんだけどね、沖田クンが、自信持てって、俺が見込んだ女だって言ってくれたこと思い出したら怖くなくなったんだよ。ありがとね。」
「そうですかィ。」
「うん。」
「頑張ったな。」
「・・・うん。ぐす。」
沖田クンは私が泣き止むまで、頭をぽんぽんと撫でてくれた。ありがどお…!
「「ごちそうさまでした!」」
※
酔い醒ましに少し歩くことにした。
「いやー、ありがとね。そして、財布持ってなくてごめん。」
「まあ俺からの祝勝ってことで。」よっ、男前!
「それにしても今日で特訓の日々ともオサラバかあ、なんか張り合い無くなっちゃうなー。」
「そうですねィ。」
「万事屋サンたちとも会えなくなるの寂しいなー、私も依頼に行ってみよっかな?」
「そうですねィ。」
・・・さっきから何言っても「そうですねィ。」としか返ってこないんだけどぉ!もうちょっと会話しよ!?これで会うの最後なんだからさぁ!
「そういえば土方サンってカッコイイ人だねー。」
「あんなんただのニコチン中毒のマヨラーでさァ。」あ、ちょっと反応した。この話題でいこう。
「クールっていうか、仕事できそ「ふぅん、ああいう感じのお人がタイプなんですかィ?」
「へ?あ、いや、そういう訳じゃ、「ですよねィ。」最後まで聞いて!?どっちかと言うと可愛い感じの人がタイプです!
「だって名前、俺みたいなのがタイプなんでしょう?」
そうそう、沖田クンみたいな…
「え…」
沖田クンが立ち止まり、こちらに1歩近づく。思わず1歩退ると壁にぶつかった。うちのアパートの壁だ。ああ、送ってくれてたんだ、と呑気に思った。
沖田クンがまた1歩近づく。私はもう退れない。
「なんだ、忘れちまったんですかィ?」
気づけば沖田クンと壁に挟まれて身動きが取れなくなっていた。
「ナンパしやしたよね、俺のこと。」最初に会った時、と言われてそういえばそんなことあったなと思い出した。
「てっきり無視されたんだと思ってたんだけど。」
「あん時は無視しやした。」だよねー!
「けど、今のアンタからの誘いなら乗ってやってもいいですぜ。」
「なんでィ、無視ですかィ?」アンタにその気がねーなら帰りやす、と言って踵を返した沖田クンの着物の襟をグッと掴む。
「ぐぇっ!オイ!だからそれやめなせぇ!」
「そ!それはつまり!その、今日で会うの最後にしなくてもいいってこと…?」
「それは、名前次第じゃないですかィ?あと、早く離してくだせェ。」
慌てて手を離すと沖田クンは襟を整え私と向かい合い、私を真っ直ぐ見据えた。その視線から逃れたい衝動を抑え、負けじと見つめ返す。そして、あのセリフ。
『キミちょう可愛いね、何歳?お姉さんと一緒に飲んじゃう?』
「・・・ぷっ!あはは!あー、やっぱ面白れぇや!」
「ちょっとぉぉ!恥ずかしかったんだから笑わないでぇぇ!!」
「あー、笑った。沖田総悟、歳は18。酒はさっき一緒に飲んだのでいりやせん。面はまあ、可愛いってことで。ただ中身は…」
《ドンッ》
「狼ですけどねィ。」
沖田クンにそれはまあ見事な壁ドンを決められた私に最初から逃げるという選択肢は与えられてなかったのだろう。
ー「何なら今から試しやすか?」
ー「・・・・・。」
ー「おーい、聞いて「キャ..!もごもごー!!」
ー「コラ、大きい声だすんじゃありやせん。これじゃ俺が襲ってるみたいだろぃ。」
ー「もごもごー!(お巡りさぁーーん!)」
ー「俺がお巡りさんでさァ。」
ー(う、うそでしょ…?)
そこで、そのライブハウスの前で出待ちをすることにした。
ソワソワ…ソワソワ…
「オイ。」
ウロウロ…ウロウロ…
「オイ、ちったァ落ち着かねぇか。」
「だってーー!久しぶりにアイツと顔合わせると思ったらなんか落ち着かないんだもの!」
「ハァ、そんな調子でどうすんですかィ。いくら特訓したとはいえ、警戒してる相手に打ち込むのは難しいですぜ、油断させねぇと。そのためにはまず平静を装わねぇといけやせん。」それが難しいから今こんなにソワソワしてるんでしょうがぁぁ!
「おっと、そろそろ出てくるんじゃねえんですか?じゃあな、頑張れよ。」「ええ!?一緒にいてくれないの!?なんで!?」「何でって。さっき言ったでしょう、油断させねぇといけねえって。それなのに俺が近くにいたら警戒されまくりでさァ。」た、確かにー!!えぇぇ、でもぉぉ。
「名前、アンタは毎日努力して万屋の旦那や土方のヤローを打ったんだ。自信を持ちなせェ。」
「沖田クン…」
「それに、アンタはこの俺が見込んだ女でさァ。憎きアンチキショーなんかに負けるかよ。」
「沖田クン…!」
2人は拳を固く握り合った。名前の手は少し震えている。
「・・・名前、手「沖田クン、これは武者震いだよ。」
「ふっ、言うようになりやしたね。名前、蝶のように舞い、蜂のように刺すんですぜ。じゃあ俺は行きやす。」と言って沖田は手をひらひらと振りながらその場をあとにした。
あ、どこに行くか聞くの忘れた。
※
「ひ、久しぶり。」
「・・・。なんだ、テメエか。」
「だあれ、この人ー?」「前のオンナだよ。」
出てきた。平常心平常心、私は蝶であり蜂なのだ。
「何か用かよ。」「久しぶりにちょっと話がしたくてね。」チラ、と隣の女の人を見る。不服そうな顔をしたものの、早く終わらせてよ、と言って少し離れた場所に行ってくれた。モチロンそのつもりです!
「で、話って?ってか出待ちって。未練か?」ジリ…と近づくとヤツはピクリと動いた。
「(私は蝶、私は蝶…)やだなー、そんなんじゃないよ。ただ、一言お礼でも言っとこうかなって。」ヤツは、お礼?と不思議そうな顔をした。1歩近づく。
「ほら、前にさ『つまんねぇ』って言われたじゃない?」また1歩。
「それでね、あれからまあ色々あって私変われた気がするだよねー。だから、お礼。」
「ふーん。確かに、前はそんな汚えジャージなんか着てなかったな。」ギャハハ、と笑っている。もう目の前。「・・・だ。」「え、何?」「これは私の戦闘服だぁぁぁーー!!!」「ンギェェェ!!!???」やったよ!沖田クン!!私、蜂になったよ!!にしても汚え悲鳴だな!ペッ!
私がWINNERのポーズをしていると、ヤツの悲鳴に先ほどの女の人が急いで近づいてきた。
「ちょっと!何したの!?」
「ちょっとばかし急所を…。」
はぁ!?という彼女に事情を説明すると、無言で近くに転がっていた酒瓶を手に取り、肩をブンブンと振り回しながらヤツの元へと向かっていった。
《バリーーーン!!!》
さて、私も行くとしよう。
※
とある居酒屋の扉を開く。やっほーおやじさん、また来たよ!
「おせーでさァ。」
「やっと見つかったぁーー。」普通に公園にいると思ったよねー!だいぶ探しちゃったよー!?
「よーよー!名前ちゃん遅えーじゃあねぇか、銀さん待ちくたびれちゃったよォー?」「旦那はただ飲んだくれてただけでしょ。」「銀時サン…いたんだ。」「ちょ、名前ちゃん辛辣なんだけどォ。何!?総一郎くんしか目に映りません的な!?妬けちゃうなー!銀さんと過ごした熱い日々は何だったの!?」「旦那、飲みすぎでさァ。」
へいへい、お邪魔虫は帰りますーと銀時サンは帰って行った。え?私のこと待ってたんじゃないの?ホントにただ飲んでただけじゃん。
「まぁ隣座りなせぇよ。」
「う、うん。」
「まぁ飲みなせぇ。」
「あ、ありがとう。」くぴくぴ…沁みるわぁ!
「まぁ食いなせぇ。」
「あ、ありがとう。」もぐもぐ…うまぁ!
くぴくぴ、もぐもぐ、くぴくぴ、もぐもぐ。ふぅ。
「あのね沖田クン、私ね本当はちょっと怖かったんだー。もし失敗したら、また酷くやり返されちゃうんじゃないかって。そしたら不安になって、泣きそうになったんだけどね、沖田クンが、自信持てって、俺が見込んだ女だって言ってくれたこと思い出したら怖くなくなったんだよ。ありがとね。」
「そうですかィ。」
「うん。」
「頑張ったな。」
「・・・うん。ぐす。」
沖田クンは私が泣き止むまで、頭をぽんぽんと撫でてくれた。ありがどお…!
「「ごちそうさまでした!」」
※
酔い醒ましに少し歩くことにした。
「いやー、ありがとね。そして、財布持ってなくてごめん。」
「まあ俺からの祝勝ってことで。」よっ、男前!
「それにしても今日で特訓の日々ともオサラバかあ、なんか張り合い無くなっちゃうなー。」
「そうですねィ。」
「万事屋サンたちとも会えなくなるの寂しいなー、私も依頼に行ってみよっかな?」
「そうですねィ。」
・・・さっきから何言っても「そうですねィ。」としか返ってこないんだけどぉ!もうちょっと会話しよ!?これで会うの最後なんだからさぁ!
「そういえば土方サンってカッコイイ人だねー。」
「あんなんただのニコチン中毒のマヨラーでさァ。」あ、ちょっと反応した。この話題でいこう。
「クールっていうか、仕事できそ「ふぅん、ああいう感じのお人がタイプなんですかィ?」
「へ?あ、いや、そういう訳じゃ、「ですよねィ。」最後まで聞いて!?どっちかと言うと可愛い感じの人がタイプです!
「だって名前、俺みたいなのがタイプなんでしょう?」
そうそう、沖田クンみたいな…
「え…」
沖田クンが立ち止まり、こちらに1歩近づく。思わず1歩退ると壁にぶつかった。うちのアパートの壁だ。ああ、送ってくれてたんだ、と呑気に思った。
沖田クンがまた1歩近づく。私はもう退れない。
「なんだ、忘れちまったんですかィ?」
気づけば沖田クンと壁に挟まれて身動きが取れなくなっていた。
「ナンパしやしたよね、俺のこと。」最初に会った時、と言われてそういえばそんなことあったなと思い出した。
「てっきり無視されたんだと思ってたんだけど。」
「あん時は無視しやした。」だよねー!
「けど、今のアンタからの誘いなら乗ってやってもいいですぜ。」
「なんでィ、無視ですかィ?」アンタにその気がねーなら帰りやす、と言って踵を返した沖田クンの着物の襟をグッと掴む。
「ぐぇっ!オイ!だからそれやめなせぇ!」
「そ!それはつまり!その、今日で会うの最後にしなくてもいいってこと…?」
「それは、名前次第じゃないですかィ?あと、早く離してくだせェ。」
慌てて手を離すと沖田クンは襟を整え私と向かい合い、私を真っ直ぐ見据えた。その視線から逃れたい衝動を抑え、負けじと見つめ返す。そして、あのセリフ。
『キミちょう可愛いね、何歳?お姉さんと一緒に飲んじゃう?』
「・・・ぷっ!あはは!あー、やっぱ面白れぇや!」
「ちょっとぉぉ!恥ずかしかったんだから笑わないでぇぇ!!」
「あー、笑った。沖田総悟、歳は18。酒はさっき一緒に飲んだのでいりやせん。面はまあ、可愛いってことで。ただ中身は…」
《ドンッ》
「狼ですけどねィ。」
沖田クンにそれはまあ見事な壁ドンを決められた私に最初から逃げるという選択肢は与えられてなかったのだろう。
ー「何なら今から試しやすか?」
ー「・・・・・。」
ー「おーい、聞いて「キャ..!もごもごー!!」
ー「コラ、大きい声だすんじゃありやせん。これじゃ俺が襲ってるみたいだろぃ。」
ー「もごもごー!(お巡りさぁーーん!)」
ー「俺がお巡りさんでさァ。」
ー(う、うそでしょ…?)
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