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どこへでも行ける(カヲ+レイ)

2024/07/24 00:00
仕分け前
『――お次に一番線に参ります列車は――』
『駅舎にて対応の都合上――』
『二番線ンー、電車が参ります』
 耳を澄ますと、特徴的な節のある口調で、次々に電車が案内されていく。独特の音程があって、歌みたいだ。電光掲示板を見れば、 一つの電車が発車して、表示が切り替わるところだった。行く先はそれぞれ。
 ずっと立っているのも良いけど。どうしよう、と思って、周りを見回した。リョウちゃんとの口約束までは、もうしばらく、時間があって、それまでの間僕にするべきことはない。この感覚は久しぶりかもしれない。
 改札を次々と人が通っていく。少し遠く、見回した先に見知った顔を見つけた。見知ったって言って良いかわからないけど。彼女だ。迷いなく歩いている。ファースト、綾波レイ。そう呼んでいいのかな。わからない。わからないことばっかりだ。だからとりあえず、彼女にやあ、と声をかけた。
「おはよう」
 彼女はそう返す。
「おはよう。君はどこに行くの?」
「海」
 海。ここから海って、どうやって行くんだろう。ねえ、と僕は言う。
「良ければ、それ。僕にもついて行かせてくれないかい?」
「……わかった」
 綾波さんは答えた。そして僕に問いかける。
「あなたはここで何をしてたの?」
「選択肢が多いなあって、考えてた。君は海に何をしに?」
「魚を見るの」
「そのためにわざわざ海へ行くのかい?」
 純粋な疑問で言ったんだけど、綾波さんはム、とした表情になった。
「文句があるなら来なくていい」
「いや!」
 僕はちょっと慌てて言う。
「是非お供させてよ。実は途方に暮れてたんだ」
 綾波さんは浅く頷く。
「電車はまだだから、まず切符を買う」
「わかった」
 自動券売機に向けて歩き出す。
 目を遠くにやれば見える空は気持ちよく晴れていて、僕には書き割りの空との見分けが付かないけど、すうと息を吸うと、なんだか新鮮な匂いがする気がする。
 列車は乗る人を等しく目的地まで運んでいく。
 線路は繋がっていて、駅の外にも街があって、時には山が、海がある。空は高い。もう僕は、どこにでも行ける。


追記
シン・エヴァ、ネオンジェネシス後の二人に寄せて
「キャラクター」が「人間」になるとこ見ることこれから先何度あるんだろうなと思う すごいことだと思う 嬉しかった
絵が描けたら漫画にしたかったやつ

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