SSS
夢診断
2025/08/21 22:57 目を開ければ、眼前は肌色の何かで占められていた。
「おはよう、爆豪くん」
18禁ヒーロー・ミッドナイトに膝枕をされているらしかった。
思わず顔を顰める。あいつやアイツなら涙を流して羨ましがるような状況かもしれないが、自分は、それどころじゃないはずじゃなかったか。あとちょっと、だったのに。
「あんた何してんの。ここどこ?」
膝と胸の間から抜け出して、体を起こす。そこにいるのは確かに先の戦いで居なくなった教師だった。
周囲は白い。白い部屋なのかと思ったが、目を凝らしても壁が見えない。
「ここはねえ、なんだと思う?心象風景?」
「ハア?」
「まあ夢だからね。どこでもないし、どこでもあるでしょう」
「夢なのかよ」
「そうよ。ミッドナイトがお供の、どこともつかない場所、って言ったら夢の中でしょう」
「あんたは俺の想像の産物ってこと?」
「さあ。そうかもしれないし、幽霊かもしれないね」
彼女はゆっくりと笑ってみせた。嗜虐的な笑みではなく、授業中に生徒を見る時の笑い方だった。
「幽霊なら、他にもっと化けて出るべきところがあるだろうが」
「死にそうな生徒に言われる筋合いはないかなあ…」
待て。目の前にいるのはもういない人間だ。状況的には、つまり、
「俺死んでね?」
彼女は首を傾げた。
「まあ、あんまり教師不幸なこというもんじゃないわよ。みんな頑張ってるんだから」
「頑張ってるって何だよ」
「あなたがさっきまでいたところの人たち。頑張ってたし、頑張ってるでしょ、今も当然。あなたも含めてね」
そりゃ頑張るだろう。なんだかはぐらかされているので質問を変えることにする。
「ここが俺の夢の中、なら、死んではねえってこと?」
「そうそうその調子」
「あんたさっきから適当なことしか言わねえな」
「夢の中の登場人物なんて、あなたがわからないことは喋らないのが普通でしょ」
ふうん、と頷いて、メガネ越しの瞳と目を合わせた。言っておこうと思って、出来なかったことがあった。
「なあ、俺ヒーロー名決めた。もう却下させねー」
気がつくと着ているのは雄英の制服になっていた。いつからだったかはわからない。
「大・爆・殺・神ダイナマイト。良いだろ」
「結局譲んなかったわね!爆殺ヒーロー、はまあ却下するけど、それじゃダメなの?」
「やだわ」
「じゃあ何ヒーロー?」
「……スーパーヒーロー?」
「アッハハハハ!いいね!若い!っつーか幼いけど、好きよ私」
「じゃあいいだろ」
「うん。でも長いから、絶対、呼ぶとき省略されるわよ」
笑ってみせる。胸をはる。瞬間、身につけているものはヒーローコスチュームだった。
「ぜってー全部呼ばせたる」
「そう。頑張んな、大・爆・殺・神ダイナマイト」
教師は笑った。まっすぐに相手を見据えた、よく知る笑顔だった。
外−−ここが何かの中であるなら−−から、何か花火が打ち上がるような音が聞こえた。
急激に瞼が重くなる。思考が間延びする。欠伸が出た。
「ねみぃ。これ、あんたの個性?」
「さあね。君、育ち盛りでしょ。よく寝な」
まばたきをしようにも、目を閉じている時間が長くなる。人影も霞み始めた。
「ほら、おやすみ、青少年」
体が重くなる。それまで身体の感覚なんてほとんどなかったことに、今、気がついた。
消化不良のまま落とされた体育祭の決勝戦を思い出す。何処か惜しいような気がする。
何か言う声が聞こえて、必死で意識を保とうとした。
「しっかし女教師に膝枕って…。フロイトじゃなくても性的欲求不満て言うわね。青いわ…」
爆破しておきゃよかった。どうせ夢だ。
「おはよう、爆豪くん」
18禁ヒーロー・ミッドナイトに膝枕をされているらしかった。
思わず顔を顰める。あいつやアイツなら涙を流して羨ましがるような状況かもしれないが、自分は、それどころじゃないはずじゃなかったか。あとちょっと、だったのに。
「あんた何してんの。ここどこ?」
膝と胸の間から抜け出して、体を起こす。そこにいるのは確かに先の戦いで居なくなった教師だった。
周囲は白い。白い部屋なのかと思ったが、目を凝らしても壁が見えない。
「ここはねえ、なんだと思う?心象風景?」
「ハア?」
「まあ夢だからね。どこでもないし、どこでもあるでしょう」
「夢なのかよ」
「そうよ。ミッドナイトがお供の、どこともつかない場所、って言ったら夢の中でしょう」
「あんたは俺の想像の産物ってこと?」
「さあ。そうかもしれないし、幽霊かもしれないね」
彼女はゆっくりと笑ってみせた。嗜虐的な笑みではなく、授業中に生徒を見る時の笑い方だった。
「幽霊なら、他にもっと化けて出るべきところがあるだろうが」
「死にそうな生徒に言われる筋合いはないかなあ…」
待て。目の前にいるのはもういない人間だ。状況的には、つまり、
「俺死んでね?」
彼女は首を傾げた。
「まあ、あんまり教師不幸なこというもんじゃないわよ。みんな頑張ってるんだから」
「頑張ってるって何だよ」
「あなたがさっきまでいたところの人たち。頑張ってたし、頑張ってるでしょ、今も当然。あなたも含めてね」
そりゃ頑張るだろう。なんだかはぐらかされているので質問を変えることにする。
「ここが俺の夢の中、なら、死んではねえってこと?」
「そうそうその調子」
「あんたさっきから適当なことしか言わねえな」
「夢の中の登場人物なんて、あなたがわからないことは喋らないのが普通でしょ」
ふうん、と頷いて、メガネ越しの瞳と目を合わせた。言っておこうと思って、出来なかったことがあった。
「なあ、俺ヒーロー名決めた。もう却下させねー」
気がつくと着ているのは雄英の制服になっていた。いつからだったかはわからない。
「大・爆・殺・神ダイナマイト。良いだろ」
「結局譲んなかったわね!爆殺ヒーロー、はまあ却下するけど、それじゃダメなの?」
「やだわ」
「じゃあ何ヒーロー?」
「……スーパーヒーロー?」
「アッハハハハ!いいね!若い!っつーか幼いけど、好きよ私」
「じゃあいいだろ」
「うん。でも長いから、絶対、呼ぶとき省略されるわよ」
笑ってみせる。胸をはる。瞬間、身につけているものはヒーローコスチュームだった。
「ぜってー全部呼ばせたる」
「そう。頑張んな、大・爆・殺・神ダイナマイト」
教師は笑った。まっすぐに相手を見据えた、よく知る笑顔だった。
外−−ここが何かの中であるなら−−から、何か花火が打ち上がるような音が聞こえた。
急激に瞼が重くなる。思考が間延びする。欠伸が出た。
「ねみぃ。これ、あんたの個性?」
「さあね。君、育ち盛りでしょ。よく寝な」
まばたきをしようにも、目を閉じている時間が長くなる。人影も霞み始めた。
「ほら、おやすみ、青少年」
体が重くなる。それまで身体の感覚なんてほとんどなかったことに、今、気がついた。
消化不良のまま落とされた体育祭の決勝戦を思い出す。何処か惜しいような気がする。
何か言う声が聞こえて、必死で意識を保とうとした。
「しっかし女教師に膝枕って…。フロイトじゃなくても性的欲求不満て言うわね。青いわ…」
爆破しておきゃよかった。どうせ夢だ。
追記
夢の話 かっちゃんとミッドナイト