SSS

来世、ハロー・ワールド

2024/07/07 00:21
text仕分け済み
 空を塗り替えるように、何かを打ち据えるように、強く風が吹いていた。
 目を瞑っていれば、それは春一番の暴風に似ていた。
 目は開いた。左腕をついて、上体を起こした。
 ぼんやり投げ出された両足は、マネキンみたいに見える。足首を寄せれば膝は曲がった。どうやら自分は動けるらしい。
 自然と見下ろしたそこには、ずっと大事に手元にしまっていたはずのカードが落ちていた。
 掴む。
 さっきからうるさいと思っていたのは、どこかで何かがぶつかっている音じゃなくて、自分の心臓の音らしかった。その主張は鬱陶しいくらいに確かだ。
 ひとつ、ふたつ、呼吸をする。視界がすこしクリアになる。
 見回すと、辺りはボロボロに壊されていた。この状態で、平衡が保たれていることが驚嘆に値する。
 ゆっくり体の重心を移動する。立ち上がれる。
 ここは天空の棺の縁のようだった。一歩先は空だ。
 戦っているのが見えた。
 また泣いてる。
 目が合った。
 戦っているのが見えた。
 殺されようとしていた。
 助けなきゃ。
 踏み切る。空に身を投じる。

 身体は思った通りに動いた。


追記
No.403のかっちゃんによせて
絵が描けたら漫画にしたかったやつ

コメント

[ ログインして送信 ]

名前
コメント内容
削除用パスワード ※空欄可